車車間通信や車と交通インフラの連携により燃費効率の良い運転を促すシステムの開発に取り組むプロジェクト。欧州諸国から約30の企業・研究機関が参加した。実施期間は2010年4月~2013年3月の3年間。欧州連合(EU)の欧州委員会が第7次研究枠組み計画(FP7)から1,370万ユーロを支援した。
同プロジェクトは、一般ドライバーやフリート事業者の運転支援を目的とし、◇走行ルートの最適化◇エコドライブの支援◇交通の効率化――の3点に重点を置いた。
例えば、地理情報の活用などにより、より燃費効率の良い走行ルートを分析したり、信号機と車両の連携により、赤信号で止まらずに運転できるようドライバーに速度調整を促したりし、燃費改善やより円滑な交通を支援するシステムの開発に取り組んだ。
■ 独DLR、運転支援システムのシミュレーション調査を実施
ドイツ航空宇宙研究センター(DLR)はこのほど、信号機と車両の連携による運転支援システムのシミュレーション調査を実施し、その結果を発表した。平均で15~18%の燃費改善効果が確認されたという。DLRでは最大20%まで燃費を改善できると見込んでいる。
DLRが「eCoMove」の一環として実施した同調査では、シミュレーションにより燃費効率の良い運転を支援するシステムをさまざまなドライバーに体験してもらった。
具体的には、信号機が赤の場合、赤の時間がどのくらい残っているかを車載ディスプレーに表示するとともに、赤で停止せずに走行するための最適な速度や燃費効率のよい変速機のシフトも表示してドライバーに知らせるシステムで、ディスプレー表示のほか、アクセルペダルの圧力を調整して、足元の感覚を通しても加速や減速を促した。
DLRは同システムにより平均で15~18%の燃費改善効果があったと調査結果を説明。また、ディスプレーに表示された最適な速度に合わせようとするため、スピードの出しすぎが抑制され安全性も高まると指摘している。
DLRはシミュレーション試験と合わせてアンケート調査も実施した。これによると、時間の節約、環境負荷の低減および燃費改善がこのような運転支援システムを利用するモチベーションになるとの回答が得られた。ただ、よく運転をするドライバーでは、燃費改善よりも早く目的地に到着できることの方が重要、と回答する人が多かったとしている。