独自動車大手のフォルクスワーゲン（VW）は23日、中国の提携先である上海汽車（SAIC）と中国西部の新疆ウイグル自治区のウルムチに新工場を建設する契約に署名した。同契約は訪独中の温家宝首相とドイツのアンゲラ・メルケル首相の立ち会いのもと交わされた。同日にはこのほか、第一汽車（FAW）との合弁会社である一汽大衆（FAW-VW）の契約を25年間、延長する趣意書も交わした。
\ウルムチの新工場の建設投資は総額で約1億7,000万ユーロを見込んでおり、2015年から年5万台を生産する計画。VWは新工場の建設と並行して、自動車部品メーカーの誘致にも注力する方針。独自の訓練センターも開設する計画という。
\VWは第一汽車（FAW）と1991年に合弁会社を設立した。両社は今後さらに協力関係を強化する方針で、共同研究や電気自動車に関するプロジェクト、新製品や新たな金融サービスの開発などで協力していく。
\中国はVWグループにとって最大の市場であり、2011年は226万台を販売した。2012年の販売も好調で、1-3月期は前年同期比15.6％増の63万3,000台以上に伸びている。
\VWと上海汽車（SAIC）との合弁会社である上海フォルクスワーゲン（SVW）およびVWと第一汽車（FAW）による合弁会社、一汽大衆（FAW-VW）を合わせた従業員数は約5万人。両社は計10工場で完成車や駆動装置、車台、エンジンを生産している。また、今後の事業拡大に向けて2016年までに140億ユーロを投資する計画を示している。
\ \■ ウルムチ工場では多言語の作業環境も＝独紙
\ \独経済紙『ハンデルスブラット』によると、中国政府は第12次5カ年計画（2011～15年）の中で同国西部の経済発展および経済格差の是正を目指しており、VWの新工場建設は同政策に沿ったものであるという。同紙によると、VWの中国法人フォルクスワーゲン・グループ・チャイナ（VGC）のカールトーマス・ノイマン最高経営責任者（CEO）は新工場の建設について、他社に先駆けて西部に進出し、新疆で模範を示す意向を明らかにしている。同地域に住むトルコ系民族のウイグル人には中国語を話さない人も多いことから、多言語を使用する作業環境を整えるなど、同地域における雇用創出にも尽力していきたいとしている。
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