独電気技術者協会(VDE)はこのほど、電気自動車の安全性に関する試験および認可基準を大幅に厳格化するよう提言した。また、電動自転車に関する安全基準も不十分であると指摘している。
\最新型のリチウムイオン電池はエネルギー密度が高く、高温の状態で稼働している。このため、事故の後、ショートなどにより電池の冷却装置に不具合が起こると火災が発生する恐れがあるが、VDEは現行の基準ではこのようなケースをカバーしきれていないと指摘している。
\また、現行の電気自動車の衝突試験では、電池パックが半分になるまでゆっくりと一定の力を加える方式をとっているが、実際の事故では、例えば大型トラックが小型電気自動車に衝突した場合、急激に大きな力が加わるため、現実とかけ離れた試験方法になっているとした。
\さらに、電池の制御システムに関しても、ソフトウエアの開発に重点が置かれており、試験基準は不十分であると説明している。このほか、車載配電網には800ボルトを超える直流電圧が流れているため、事故後に部品や車体を流れる電圧がゼロになっていなければ、救急に駆け付けた隊員が危険にさらされる、と指摘。現行の安全基準である「UN ECE-R100」では、車体が清潔で乾いた状態で伝導性やリーク抵抗を検査しているが、日常的に使用している車体は汚れていたり、濡れていたりする点を指定し、これらの条件に配慮する必要があるとした。
\電動自転車に関しては、販売されている製品の95%は安全試験を受けていない、と指摘。自転車は他の自転車と並べて駐輪しているケースが多く、火災が発生すると隣接する自転車に燃え移り、大きな事故となる危険があると指摘している。
\ \■ VDE、新たなバッテリー・環境試験センターを開設
\ \VDEは7月5日、ドイツのオッフェンバッハ(フランクフルト近郊)に新たなバッテリー・環境試験センターを開設した。電気自動車用リチウムイオン電池の安全性や耐久性を試験できる。同センターは自動車メーカーや部品メーカー、研究機関、公的機関などに公開し、設備を利用できるようにしている。
\同センターでは例えば、高さ10メートルの落下塔で電池を時速50キロメートルの速度まで加速させることができるほか、その他の設備では電池に力を加えてつぶすといった試験も実施できる。
\また、環境試験センターでは、高湿度や急激な温度変化、振動などの環境条件をシミュレーションすることができる。
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