独自動車工業会(VDA)のマティアス・ヴィスマン会長は16日付けの独日刊紙『ヴェルト』に掲載されたインタビュー記事の中で、欧州連合(EU)の政策は環境分野に力を入れるあまり、産業をないがしろにしており、バランスを欠いていると批判した。
\同会長はヴェルト紙に対し、「世界レベルの環境保護への取り組みが極めて遅いスピードでしか前進していない中で、欧州だけが目標を厳格化して独り歩きすることは環境にも産業にも有益とならない」と指摘したうえで、「欧州の産業力を強化できてはじめて、ユーロ圏を長期的に維持することができる」との考えを示した。また、「欧州が将来、太陽光や風力発電といった新エネ技術だけで生きていけるという考えは経済的に現実的ではない」と指摘し、「実際には、自動車、工作機械、化学などの伝統的な産業がEUの経済的な強さを支えている」とも説明した。
\自動車産業に関しては、「ドイツの自動車産業が世界の高級車市場の80%のシェアを占めているため、欧州で将来も自動車を生産するチャンスがある」と述べ、大型車の多い高級車と小型車を同列に扱い、二酸化炭素(CO2)排出量が多い大型モデルに不利になるような排ガス規制や社会的価値観を植え付けることに疑問を呈した。人件費や社会保障負担の高い欧州で小型車を生産することは数年後には難しくなる、と述ベ、環境保護と産業成長のバランスのとれた政策の重要性を強調した。
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