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2013/1/4

企業情報 - 自動車メーカー

ダイムラー、新冷媒「R1234yf」を採用しない立場を堅持

この記事の要約

独自動車大手のダイムラーは、カーエアコンに使用する冷媒として「R1234yf」を採用しない立場を堅持している。メディア報道によると、同社の広報担当者は2日、「新冷媒を採用する訳にはいかない」と述べ、今後も従来の冷媒「HF […]

独自動車大手のダイムラーは、カーエアコンに使用する冷媒として「R1234yf」を採用しない立場を堅持している。メディア報道によると、同社の広報担当者は2日、「新冷媒を採用する訳にはいかない」と述べ、今後も従来の冷媒「HFC-134a(R134a)」を使用する意向を示した。「R134a」は今年初めから欧州連合(EU)では採用が禁じられているため、ダイムラーは型式認定をはく奪されたり、罰金を求められたりする可能性もあるが、同社は今回の問題についてEUやドイツの連邦陸運局(KBA)と協議しており、罰則が適用される可能性は低いと見られている。

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ダイムラーは昨年9月、独自に実施した安全性能試験の結果、新冷媒「R1234yf」は発火する恐れがあることが分かったとして、採用を見合わせる立場を明らかにしていた。従来の「R134a」はオゾン層の破壊作用が小さいという利点がある一方で、二酸化炭素(CO2)を大幅に上回る温暖化作用があり、京都議定書の規制対象になっている。

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EUは本来、2011年1月1日から域内で販売される乗用車の新型モデル(輸入車を含む)を対象に地球温暖化係数(GWP)が150以下の冷媒を新車のカーエアコンに使用することを義務付けていた。これに伴い「R134a」に替わる冷媒として、自動車業界では米国のハネウェルとデュポンが共同開発した「R1234yf」を冷媒として使用することで国際的に合意しており、独自動車工業会(VDA)も「R1234yf」の採用を支持していた。しかし、「R1234yf」の生産が需要に追い付かないことから、EUの欧州委員会は「R1234yf」の導入を2013年1月以降に延期した経緯がある。

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■ VDAやADACはダイムラーの対応に理解

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ダイムラーの試験結果を受けて、ドイツ自動車工業会(VDA)のウルリッヒ・アイヒホルン専務理事は昨年、独自動車専門誌『アウト・モートア・ウント・シュポルト』に対し、少なくとも半年間の猶予期間を設けるべきであるとの考えを示していた。

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ダイムラーはすでに、「Aクラス」「Bクラス」およびスポーツカー「SL」の3モデルが新規定で型式認定を受けており、これらのモデルの認定が取り消される可能性もある。

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ドイツメーカーではBMWの広報が今回の問題について「極めて真剣に受け止めている」との姿勢を示しているが、メディア報道によるとBMWでは差し当たり新規定で型式認定を受けるモデルの予定はないため、同問題への対応に時間的な余裕があるという。

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また、全ドイツ自動車クラブ(ADAC)は昨年9月、安全性の確保を最優先するため、「R1234yf」の採用を見合わせるとしているダイムラーの立場を支持する姿勢を示していた。ただし、環境負荷の大きい「R134a」に替わる新たな冷媒として二酸化炭素(CO2)を冷媒にした「R 744」が適切であるとの立場を表明している。

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