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2013/2/15

企業情報 - 自動車メーカー

新冷媒「R1234yf」の採用でダイムラーに逆風

この記事の要約

カーエアコンに使用する新冷媒「R1234yf」の採用をめぐりダイムラーに対する圧力が高まっている。米国自動車技術会(SAE)が11日、「R1234yf」の安全性を改めて報告したほか、欧州連合(EU)の欧州委員会はこのほど […]

カーエアコンに使用する新冷媒「R1234yf」の採用をめぐりダイムラーに対する圧力が高まっている。米国自動車技術会(SAE)が11日、「R1234yf」の安全性を改めて報告したほか、欧州連合(EU)の欧州委員会はこのほどドイツ連邦政府に宛てた書簡の中で、新冷媒の採用について猶予は認めないと通達した。

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米国自動車技術会(SAE)は11日、「R1234yf」のリスク評価について、欧州・北米・アジアの大手自動車メーカーが結成した研究プロジェクトチーム(CRP1234-4)が実施してきた試験の結果から、「R1234yf」は高い信頼性を持って自動車向け冷媒として安全に使用できる、との見解を発表した。同冷媒が発火するには極めて理想的な条件がそろわなければならないと説明し、ダイムラーが独自に実施した試験結果については、実際には起こり得ないような極めて理想的な状況で起こったものであり、現実的ではないと指摘した。

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ただし、SAEはリスク評価の精度の高さを保持するため、故障・事故のリスクを分析するためのフォルト・ツリーに最新かつ最も正確なデータを追加投入していく意向を示している。

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■ 欧州委、新冷媒導入の猶予を認めない方針

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欧州委のアントニオ・タヤーニ委員(産業・企業担当)は12日、欧州委がドイツ連邦政府に宛てた書簡の中で、カーエアコンに使用する新冷媒について猶予期間を認めない意向を伝えたことを認めた。

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EUでは今年1月から域内で販売される乗用車の新型モデルを対象に温室効果ガス排出量の少ない代替冷媒を使用することを義務付けている。しかし、ダイムラーは昨年9月、独自に実施した安全性能試験の結果、新冷媒「R1234yf」は発火する恐れがあることが分かったとして、採用を見合わせる立場を表明。また、欧州委に「R1234yf」の導入について猶予期間を設けるよう求めていた。ダイムラーにはすでに「R1234yf」を採用することを前提に型式認定を受けたモデルが複数あるが、「R1234yf」は安全性に問題があるとして、現在も従来の冷媒「R134a」を使用している。

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ドイツ連邦陸運局(KBA)が独業界紙『オートモビルボッヘ』に明らかにしたところによると、同局は2月にもダイムラーに対し、期限を設けて規制を順守するよう要請する方針であるという。ダイムラーが要請に対応できない場合には型式認定の取り消しもあり得るとしている。

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また、ドイツではダイムラーが独自に実施した試験により「R1234yf」は発火の恐れがあると指摘したことに対しては、同試験で使用した「Bクラス」でのみ起こり得る問題であり、同モデルのエアコンの構造の問題ではないかと憶測する声も出ている。

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