ドイツ連邦環境庁(UBA)はこのほど、カーエアコン用の新冷媒「R1234yf」について連邦材料試験局(BAM)が実施した試験結果を発表した。同冷媒の危険性を指摘するとともに、自動車メーカーに対して採用するにあたって注意するよう求めている。20日付けの独自動車専門誌『アウト・モートア・ウント・シュポルト』(電子版)が報じた。
\同誌によると、BAMの試験により、「R1234yf」は発火の危険があるほか、発火はしなくても火災事故など高温になるとフッ化水素が発生することが判明した。UBAは、ドイツでは自動車の火災事故が年に3万~4万件発生していると指摘、このような火災事故ではフッ化水素が発生する恐れがある。ただし、冷媒が発火するリスクは各メーカーの車両設計により異なるため、メーカーが試験して確認するしかない、としている。
\また、自動車メーカーに対し、「R1234yf」を採用する際には、危険性について包括的に分析を行う必要があるとしたほか、◇エンジンルームの表面の熱を遮断する◇エンジンルームに自動消火システムを導入する◇発生したフッ化水素が車内に入りこまないような構造とする――などの対策を取る必要があると指摘している。
\ \■ 独自動車メーカー、新冷媒に関する規制の先送りをEUに要請
\ \17日付けの独『オートモビルボッヘ』紙(電子版)が業界幹部から得た情報によると、ドイツの自動車メーカーは欧州連合(EU)に対し、カーエアコンに使用する冷媒の現行規制の適用を先送りするよう要請しているもようだ。また、環境負荷の高い従来の冷媒を今後も使用する代わりに、二酸化炭素(CO2)排出権を購入することを提案しているという。
\ドイツの自動車メーカーは新冷媒としてCO2の冷媒を採用する方針を示しているが、CO2の冷媒に対応したカーエアコンの開発には2~3年かかると見込まれている。このため、EUに対し、今年1月から導入されている冷媒に関する新規制の先送りを要請したという。同紙はドイツ連邦交通省も問い合わせに対し、そのような要請があることを追認したと報じている。
\