独化学大手のエボニックはリチウムイオン事業から撤退する。電気自動車市場が当初予想したほど伸びておらず、同社の目指す利益率の確保が困難になったと判断した。10月31日発表した2013年第1-9期決算では、7月に分離した不動産事業およびリチウムイオン電池事業は売却する予定であり、継続事業のみを対象にした今後の見通しには含まれていないと説明している。
\同社は第3四半期(7-9期)のリチウムイオン事業における損失として2億3,900万ユーロを計上した。これは高額の評価損によるもの。撤退するリチウムイオン事業には、バッテリーセルを構成する化学部材の開発・生産のほか、バッテリーセルおよびバッテリーシステムの組み立て生産などが含まれる。
\同社は撤退を決めた理由として、電気駆動車両(エレクトロモビリティー)市場の需要・供給を見定めた結果、バッテリーセル販売で競争力を高めるためには一定の生産規模を確保する必要があるが、そのためにはさらに投資する必要があり、同社が目指す利益率の達成が困難であると判断した、と説明している。リチウムイオン事業の売却先を探しているという。
\エボニックは独自動車大手のダイムラーとリチウムイオン電池セルを生産する合弁会社リテックを設立し、独東部のカーメンツに工場を持つ。メディア報道によると、リテックの新たな提携先を模索する際に、ダイムラーと方向性が異なったこともリチウムイオン事業からの撤退の背景にあるという。また、業界ではアジアの投資家がリテックに資本参加する可能性もあるとの憶測が出ているという。
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