欧州議会は2月26日、欧州連合(EU)域内で販売される新車に自動車事故を自動的に通報する「eコール」と呼ばれるシステムの搭載を義務付ける法案を承認した。ただし、2015年10月から導入する期限については、延期の可能性を残したほか、データ保護に関する条項を厳格化した。同法案は今後、EU加盟国が審議する。
eコールは、事故が起きると車内に装備された発信装置が衝撃を感知して自動的に作動し、域内共通の緊急通報用電話番号「112」につながって最寄りの緊急サービスセンターに通報するシステム。法案は乗用車と小型商用車を対象としている。欧州委は、eコール搭載の義務化により、救急対応の時間が大幅に短縮され、年2,500人の命が救われると見込んでいる。
しかし、産業界からはシステムの開発や試験に時間がかかるとの声が上がっており、欧州議会は導入を義務化する時期を先送りできる可能性を残した。また、同システムが車両を常に追跡するシステムとして利用される事態を防ぐため、eコールを通して発信する情報を自動車のタイプや燃料の種類、事故が発生した時間や車両の位置、進行方向など救急に必要な主要データのみに限定するよう修正を求めた。
独業界紙『オートモビルボッヘ』によると、EU加盟国は今秋にも同法案に関する協議を開始する見通しという。