独自動車部品大手のZFフリードリヒスハーフェンは15日、米同業のTRWオートモーティブの買収で合意したと発表した。両社合わせた売上高は約300億ユーロ、従業員数は13万8,000人となり、独自動車部品大手のボッシュやコンティネンタルと肩を並べる規模の部品メーカーが誕生する。両社の統合により、自動車業界が重視している燃費改善、安全性向上、自動運転の分野における競争力を強化する。
ZFが駆動装置や車台の技術を得意とするのに対し、TRWはエアバッグシステムやカメラ、レーダー技術、センサー、ソフトウエアなど安全システムや電気電子部品を得意とする。重複する分野はほとんどないとされるが、操舵システムでは両社の事業が重複する。このため、ZFは独ボッシュと折半出資で設立した操舵システムの合弁会社ZFLS(ZF Lenksysteme)の持ち分をすべてボッシュに売却することで合意した。
■ 米国と中国の売上高が急増
ZFはTRWの買収により、米国の売上高が28億ユーロから65億ユーロへと2倍以上に増加する。中国の売上高は40億ユーロとなり、アジア・太平洋地域ではこれまでの30億ユーロから約54億ユーロに拡大する。ZFはTRW買収後も欧州の売上高が全体の約5割を占めるが、今後は北米と中国を中心とするアジアの事業比率が拡大すると見ている。2013年の売上高は、ZFが168億3,700万ユーロ(従業員数:7万2,643人)、TRWは約174億ドル(約128億ユーロ、従業員数:6万5,000人)だった。
■ 顧客グループで補完効果も
両社は、顧客グループにおいても補完効果は大きいと見込んでいる。TRWは欧米の量産車メーカー向けの製品が多い一方、ZFは高級車メーカーを顧客に持つ。
ZFはTRWの株主に対し1株当たり105.60米ドルの現金による買収を提案する予定で、買収規模は約124億米ドルとなるもよう。買収資金はシティーグループとドイツ銀行から融資を受けるほか、社債の発行も計画している。
ZFはカルテル当局の認可やTRW株主の合意を経て2015年上半期には買収手続きを完了できると見込んでいる。買収完了後、株式は非公開とする計画。
ZFのステファン・ゾンマー社長は独日刊紙『フランクフルターアルゲマイネ』に対し、売上高利益率を6%に引き上げる目標は今後も堅持すると語っている。また、今回のような大規模ではないが、今後も買収は有り得るとの姿勢を示した。
ZFは2025年までに売上高を400億ユーロに拡大する戦略を打ち出している。