独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)・グループは7日、ディーゼル車に不正ソフトウエアを搭載した問題で、ドイツ連邦陸運局(KBA)に該当車両への技術的な対応策を提出した。
独日刊紙『フランクフルターアルゲマイネ』によると、大型の2リットルディーゼルエンジンを搭載するモデルではエンジン制御装置用の新しいソフトウエアをインストールすることで対応できるが、小型エンジンを搭載するモデルでは、触媒装置やインジェクターなどハードウエアを交換する必要があるという。独自動車部品大手のボッシュやコンチネンタル、英デルファイに部品供給が求められるため、部品メーカーにもVWの対応措置の影響が広がる見通しという。
VWのマティアス・ミュラー新社長は『フランクフルターアルゲマイネ』紙に対し、対応措置は2016年1月から開始する計画であり、同年末までかかるとの見通しを示した。
また、ミュラー社長は6日付のプレスリリースで、「我々の最重要課題は失った信頼を再び取り戻すことだ」と述べるとともに、「4ブランドの多くのモデルバリエーションが関係する今回の問題では速度よりも綿密さが重要だ」と述べ、スピードよりも入念な対応を優先する姿勢を示した。
■ ウェブサイトで該当車両の照会が可能に
VWは不正ソフトウエアを搭載した車両を購入した顧客に同社から連絡するほか、顧客がウェブサイトで該当車両であるかどうかを確認できるシステムをVW、アウディ、シュコダブランドで導入した。
アウディでは、1.6リットルと2.0リットルの「EA 189」タイプのTDIディーゼルエンジンを搭載したモデルで、欧州連合(EU)の排ガス基準「ユーロ5」に対応した車両が対象となる。
また、シュコダでは、気筒容量1.2リットル、1.6リットル、2.0リットルの3気筒および4気筒ディーゼルエンジン(「EA 189」タイプ)を搭載した車両が該当し、世界で約120万台が対象となる。
なお、VWはEUの排ガス基準「ユーロ6」に対応した最新モデルは今回の問題に該当していないと説明している。
■ 検察当局がVW社屋や従業員の自宅を家宅捜査
ブラウンシュヴァイク検察当局は8日、ヴォルフスブルクなどのVW社屋やVW従業員の自宅に家宅捜査に入った。メディア報道によると、当局は今回の措置について、「刑事罰の対象となる疑いのある不正行為に関連した書類やデータを捜査するため」と説明している。
■ 監査役会長にペッチュ財務担当取締役が就任
VWの監査役会は7日、ハンスディーター・ペッチュ財務担当取締役(64)が監査役会長に就任する人事を発表した。監査役会長はフェルディナント・ピエヒ前会長が4月に辞任した後、金属労組IGメタルの前委員長であるベルトホルトベルトルト・フーバー副会長が暫定的に代行していた。