独自動車大手ダイムラーのトーマス・ウェーバー取締役は(研究開発担当)は16日付の独経済紙『ハンデルスブラット(HB)』に対し、電気自動車(EV)の普及に向けドイツ政府による購入支援は必要との見解を示した。
\欧州では、英国、アイルランド、スペイン、フランス、イタリアなどが相次いで補助金によりEV購入を支援する方針を明らかにしている。これに対し、ドイツ政府はこれまでのところ、EV関連の研究開発に支援の重点を置き、直接的な購入支援は行わない方針を示している。
\ウェーバー取締役はHB紙に対し、ドイツの自動車メーカーがエレクトロモビリティーの分野で競争力を確保するためには、市場競争や各ブランドのアイデンティティーの問題があるものの、業界の相互協力が必要だと述べ、政府に標準化や研究分野での共通枠組みの整備のほか、将来的にはEV購入に対する助成策の導入を求めていく考えを示した。
\政府は5月3日に開くエレクトロモビリティーに関する業界首脳会議で、政府関係者や研究者、経済界の要人と、今後の戦略について議論する予定。
\ \■ ダイムラーのEV戦略、中国市場と高級車市場を区別
\ \ウェーバー取締役はこのほか、ダイムラーのEV戦略について、中国市場と高級車市場では異なると説明した。
\ダイムラーは中国のバッテリー・自動車メーカー、比亜迪汽車(BYD)と中国市場向けの電気自動車を共同開発し、新ブランドで販売する計画。一方、ドイツでは化学大手のエボニックとの合弁会社Li-Tecを通してリチウムイオン電池を開発・生産する戦略をとっている。
\同取締役はこれについて、高級車の電子化においてリチウムイオン電池は成功のカギを握る重要な技術であるとの認識を示し、電気モーターや蓄電池を独自に開発・生産する方針を示した。開発や生産に関わることでコスト管理も強化できるとしている。
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