仏自動車大手のルノーは、経営資源を電気自動車(EV)に注力し、ハイブリッド車は開発しない方針だ。同社のパトリック・ペラタ副社長が3日、デュッセルドルフで報道陣に明らかにした。ハイブリッド車を開発しないと公言したメーカーは大手では初めて。仏競合のPSAプジョー・シトロエンは、提携先の三菱自動車から「アイミーブ」をベースにしたEVを年末にも市場投入する一方、ハイブリッド車の開発に力を入れている。
\同取締役はハイブリッドシステムについて、オフロード車やピックアップトラックのような米国で人気の大型モデルでは必要だが、ルノーは米国での販売実績が少ないうえ、小型車が多いため、必要性はないと説明。場合によっては、マイクロハイブリッドシステムを導入する可能性はあるが、それも現時点では不確かであると述べた。マイクロハイブリッドシステムは、アイドリングストップ機能に電気モーターを装備したシステム。信号などで減速した際のブレーキエネルギーを電気モーターに充電し、発進時にエンジンを補助する仕組み。
\同取締役はこのほか、ハイブリッドシステムを採用すると販売価格が高くなることと、将来は電気自動車が普及することも理由に挙げた。ハイブリッド車は燃費を10~15%改善するにとどまり、過渡期的な技術にとどまると指摘。世界的見ると自動車の数は急増しており、各国政府が注力している二酸化炭素(CO2)削減の目標を達成するためには、電気自動車の普及が不可欠であるとの見解を示した。
\ \■ 2012年末までにEVの生産能力を15万~20万台に拡大
\ \ペラタ副社長はルノーの電気自動車(EV)の生産能力について、2012年末までに15万~20万台に引き上げる方針を明らかにした。EVの主な供給先は米ベタープレイスとなる予定。
\ベタープレイスはイスラエルとデンマークで大規模なEVのパイロットプロジェクトを計画している。ルノーはベタープレイスにEV 「フルエンス」を2016年までに10万台、供給することになっている。
\ルノーは「フルエンス」をトルコのブルサ工場で生産する。来年は数千台を生産する見通しで、将来は生産規模を年3万台に引き上げる計画だ。
\ \■ 仏競合PSA、ハイブリッド車は2011年以降の予定
\ \仏競合PSAプジョー・シトロエンのGuillaume Faury開発担当取締役は今年7月、独業界紙『オートモビルボッヘ』に対し、今後数年以内にディーゼル・ハイブリッド車を4機種、市場投入する計画があると明らかにした。2011年春にプジョー「3008 ハイブリッド4」を発売し、その後、シトロエン「DS5」、プジョーのセダン「508」、さらにシトロエンのハイブリッドモデルを発売する予定。2012年にはプラグインハイブリッド車「3008 ハイブリッド4 プラグイン」を発売する計画もあるという。
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