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2011/3/25

総合 – 自動車産業ニュース

オペルやPSAで部品が不足、独自動車業界では時短も

この記事の要約

東北関東大震災により日本の工場の操業や物流に影響が生じていることを受けて、欧州自動車業界の生産にも影響が見え始めた。自動車大手の独オペルや仏PSAプジョーシトロエンの生産ラインが停止したほか、ドイツの自動車業界では操業時 […]

東北関東大震災により日本の工場の操業や物流に影響が生じていることを受けて、欧州自動車業界の生産にも影響が見え始めた。自動車大手の独オペルや仏PSAプジョーシトロエンの生産ラインが停止したほか、ドイツの自動車業界では操業時間の短縮を連邦雇用庁に申請する企業も出始めている。

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オペルでは小型車「コルサ」の生産に影響が生じた。同モデルのみを生産するドイツのアイゼナハ工場ではエンジンを制御する電子部品の不足により21日に2シフトを削減した。当初は22日も2シフトを削減する計画だったが、同部品を供給する部品メーカーが海外工場で増産し供給する措置をとったため、22日の減産を回避することができた。オペルではスペインのサラゴサ工場でもコルサを生産している。

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PSAプジョーシトロエンでは3月23日からディーゼルエンジンの生産を停止した。日立オートモティブシステムズの電子部品供給に問題が生じたためで、同社では納車に影響しないよう最大限の努力をするとしている。

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■ 独自動車業界では時短の申請も=独紙

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24日付の独日刊紙『南ドイツ新聞』によると、ドイツでは連邦雇用庁に操業時間の短縮を申請した企業があり、申請件数は今後増える可能性もあるとみられている。

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同庁では、その他の部品メーカーや在庫で対処できないことを証明できれば、操業時間の短縮による従業員の給与削減の一部を補償する。

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同紙によると、ドイツの大手自動車メーカーではこれまでのところ時短措置を申請した企業はなかった。ダイムラーとBMWでは現在、部品が不足する可能性について調査中としている。VWでは一部の部品が不足する見通しだが、他の部品メーカーから調達する方向で動いているという。

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自動車業界も含めたドイツの産業界では特に半導体関係の電子部品が不足する恐れが強まっている。

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同紙によると、スウェーデン自動車大手のボルボでは3月末から4月初めにかけて部品が不足する可能性があるという。同社では自動車部品の約10%を日本のサプライヤーから調達している。また、子会社のボルボ・トラックスでは建機部門のVolvo CEの中国や韓国の工場が大きな影響を受ける見通し。ドイツ工場はいまのところ問題はないとしている。

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■ 日本メーカーの欧州拠点、当面は影響なし

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日本メーカーの欧州拠点ではさしあたり生産や販売に大きな影響はない模様だ。部品の大部分を現地調達しているほか、震災前に出港した貨物船が欧州に向かっているからだ。ただ、中長期的には納車などに影響が出る恐れもある。

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トヨタ自動車のドイツ法人の広報担当者は本誌の問い合わせに対し、震災前に出港した貨物船が欧州に次々に到着するため、最低6週間は販売に影響はないと説明。生産については欧州で販売するモデルの77%を欧州域内の工場で生産しており、欧州工場の部品は90%を現地調達しているため、当面は問題ないとの見方を示している。ただし、ハイブリッドシステムなど一部の部品を日本から輸入しているため、現在(3月24日時点)は特別シフトの導入などを控え、通常の生産体制を維持しているという。生産を停止すると再稼働のコスト負担が大きいことを理由の一つに挙げた。また、日本工場の生産停止が続く場合に備えて、米国など海外の工場から部品を調達する可能性についても検討しているとした。トヨタは欧州では、フランス、英国、トルコに工場を持つほか、ポーランドに仏PSAプジョーシトロエンとの合弁工場がある。

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ホンダのドイツ法人の広報担当者は本誌の問い合わせに対し、販売については今後6週間問題が生じないと説明。特別な装備を必要とするモデルや一部の車体カラーでは供給が遅れる可能性もあると付け加えた。同社は欧州で販売するモデルの70%を欧州の工場で生産している。日本からは鈴鹿工場と狭山工場から完成車を輸入しているほか、熊本工場から部品や自動二輪を輸入している。

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