独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は24日、米国のテネシー州チャタヌーガに建設していた新工場の開所式を行った。VWは1988年に米国における生産から撤退しており、33年ぶりの再進出となる。VWグループは2018年までに世界最大手の自動車メーカーとなる目標を掲げており、同目標の実現には米国販売の大幅強化が不可欠とされている。
\欧州や中国、南米市場で最大手のVWは米国市場では後れをとっており、2010年の同国における販売(VW、アウディの合計)は約36万台、市場シェアは3.1%にとどまっている。同社は2018年までに世界販売を1,000万台に引き上げる計画で、うち、米国では現在の約3倍の100万台を目指している。
\新工場では、米国市場向けに開発した「パサート」を生産する。同モデルは従来モデルに比べ若干大型化したほか、販売価格を2万ドルからとし、従来の輸入モデルに比べ約8,000ドル安く設定している。新工場では年15万台を生産する計画で、同工場で生産したパサートは今秋から販売を開始する予定。また、新工場の従業員数は今年末までに2,000人を超える見通し。
\新工場の建設は、輸入車に対する為替相場の影響を回避する目的もあるが、地域に根差したメーカーとしてのイメージを定着させるマーケティング戦略や、中国市場に成長を依存する現在の販売体制を調整する狙いもあると見られている。
\VWは以前、米ペンシルバニアに工場を持っていたが、販売低迷などにより同工場を1988年に閉鎖し、現地生産からの撤退を余儀なくされた経緯がある。
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