独高級車メーカーBMWの大株主として知られる富豪、ズザンネ・クラッテン氏がドイツの炭素製品大手SGLカーボンへの出資比率を従来の22.25%から27.27%に引き上げた。クラッテン氏が所有する投資会社Skionは今年2月、独自動車最大手のフォルクスワーゲン(VW)がSGLに資本参加(出資比率:8.18%)したことに警戒心を示していた。今回の措置により、Skionの出資比率は25%を超え、重要な決定事項に対して拒否権を発動できるようになる。
\Skionはさらに、SGLの転換社債を今後12カ月以内に株式に交換し、出資比率を約29%に引き上げる計画。ドイツの法律では出資比率が30%を超えると、全ての株主に対し株式買収を提案しなければならないが、Skionの広報担当者は「さしあたり買収は計画していない」とコメントしている。ただし、「取締役や監査役の人事については引き続き影響力を行使できるよう努力する」とも述べ、VWの動きをけん制した。
\ \■ 独自動車業界、炭素繊維部品確保の動きが活発化
\ \SGLは自動車向けに、炭素繊維を使用した構造部品やカーボンセラミック・ブレーキディスク、リチウムイオン電池の部品などを生産している。ドイツの自動車メーカーでは、軽量化に寄与する炭素繊維部品確保の動きが活発化しており、Skionが資本参加するBMWとSGLは自動車向けの炭素繊維製品の合弁会社を設立している。
\独高級車メーカーのダイムラーも今年1月、東レと炭素繊維複合材料(CFRP)分野で合弁会社を設立すると発表。さらに、VW傘下の高級車メーカー、アウディは今年2月、独機械メーカーのフォイトと繊維強化材料の開発・生産で協力すると発表した。フォイトはSGLカーボンに資本参加(出資比率:5.12%)している。
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