欧州の自動車部品メーカーに対する中国資本の関心が高まっているもようだ。独経営コンサルティング大手のローランド・ベルガーがこのほど発表した調査レポート『Chinese appetite - Emerging market players are buying into the European auto supplier industry』によると、中でもドイツの自動車部品メーカーに対する関心が特に高まっているという。中国資本による買収では、文化の違いを克服しなければならないなどの問題がある一方、豊富な資金力を今後の成長に積極的に活用できる利点もあるとまとめている。
\同調査レポートでは、2011年はドイツ語圏における自動車部品メーカーの買収案件が約50~60件となり、そのうち新興国市場の投資家による買収は約15~20%に達すると予想している。同割合は前年(8%)の約2倍に相当する。特に中国資本による買収が多く、背景には2011年に始まった中国の第12次5カ年計画の経済政策があると指摘している。中国政府は国外企業の買収により技術力を強化し、国際競争力を高めることを目指しているという。
\欧州の自動車業界ではスウェーデン自動車大手のボルボやサーブが中国資本の傘下に入るなど中国企業による買収が増加しているが、ドイツの自動車部品メーカーでは、シール部材メーカーのザールグミ(ルクセンブルク)のドイツ子会社が中国の国営企業Chongqing Light Industry & Textile Holding Group(CQLT)に買収されたほか、空調機電子部品メーカーのプレーが中国の投資会社Joysonに買収された例がある。
\同レポートによると、この傾向に対して欧州の自動車メーカーの抵抗はほとんどないという。中国市場で販売が急速に伸びている中、中国政府との関係を良好に保ちたい考えがあるほか、中国の部品メーカーの技術力が向上すれば、品質の良い製品を安く調達できるようになり、自動車メーカーにとっても有利になると見ているという。
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