スウェーデン自動車大手のボルボ・カー・コーポーレーションは12日、レンジエクステンダー(航続距離延長装置)を搭載した3モデルの開発プロジェクトを開始すると発表した。2012年1‐3月期に3つの異なるコンセプトを搭載した各モデルの走行試験を実施する予定。同プロジェクトは欧州連合(EU)およびスウェーデンエネルギー庁の支援を受けている。開発はまだ初期段階にあり、3つのコンセプトを調査することが目的という。
\電気自動車(EV)は電池の大きさやコスト負担の問題から従来モデルに比べて航続距離が短い問題がある。ボルボは電気モーターと従来の内燃エンジンを組み合わせたレンジエクステンダー方式の採用により3モデルの走行距離を約1,000 kmに伸ばす。3モデルとも電気モーターで前輪を駆動する仕組みで、燃料タンクはガソリンおよびエタノールの混合率が85%の「E85」に対応している。
\シリーズ式と呼ばれる1つ目のコンセプトの開発はEUが支援するプロジェクトの一環で、参加する8社・機関のうち、自動車メーカーはボルボのみという。パラレル式と呼ばれる2つ目と3つ目のコンセプトの開発は、スウェーデンエネルギー庁が1,080万スウェーデンクローナ(120万ユーロ)を支援している。
\ \■ コンセプトI:「C30」ベースのシリーズ式
\ \1つ目のコンセプトは同社のEV「C30エレクトリック」をベースとし、3気筒エンジン(出力60馬力/45kW)と40リットルの燃料タンクを装備する。エンジンは発電機(出力40kW)に連結されており、同発電機を通して電気モーター(出力111馬力/82kW)を駆動する。ドライバーの判断により、発電機でバッテリーを充電することもできるという。同モデルの航続距離は最大1,000km。バッテリー単独では110kmを走行できる。
\ \■ コンセプトII:「C30」ベースのパラレル式
\ \2つ目のコンセプトも「C30エレクトリック」をベースとし、40リットルの燃料タンクを装備する。1つ目のコンセプトに比べて出力が190馬力と大きい3気筒ターボチャージャーエンジンを搭載し、同エンジンが6速自動変速機を通して後輪を駆動する。エンジンが発電機を駆動しバッテリーを充電することもできる。電気モーターの出力は111馬力/82kW。3気筒エンジンと電気モーターを合わせた出力は300馬力を超え、停止した状態から時速100kmに6秒以下で加速する。同モデルの航続距離は1,000km以上。バッテリー単独では75kmを走行できる。
\ \■ コンセプトIII:「V60」ベースのパラレル式
\ \3つ目のコンセプトは「V60」をベースにしたモデルで、電気モーター(出力111馬力/82kW)、3気筒ターボエンジン(190馬力/140kW)、2段式自動変速機、発電機(出力40kW)が全てフロントのボンネット下に組み込まれている。ターボエンジンは変速機を通して前輪を駆動するほか、必要に応じてバッテリーを充電することもできる。同モデルは時速50kmまでは電気モーターで加速し、時速50kmを超えるとガソリンエンジンが稼働する。また、バッテリーの容量が事前に設定した水準を下回るとエンジンが稼働して充電する仕組み。同モデルの航続距離は1,000km以上。バッテリーだけで50kmを走行できる。
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