独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の広報担当者は19日、スズキとの業務・資本関係に関するメディアの問い合わせに対し、「スズキへの出資比率(約19.9%)にきわめて満足している。両社の間で出資比率の拡大についての合意はない」と述べ、VWがスズキを支配下に置こうとする動きはないことを強調した。
\今回の声明は、VWとの提携交渉を担当するスズキの原山保人副社長の18日の会見での発言を受けたもの。同副社長は、具体的に動いているVWとの共同プロジェクトはない、と説明。また、VWがスズキへの影響力を拡大しようとしているとの認識を示し、対等なパートナー関係が提携の前提条件であることを強調した。さらに、フィアットを例に挙げ、VW以外とも提携する可能性があることを示唆してVWの動きをけん制した。
\VWはかつて独高級車メーカーのポルシェと買収合戦を繰り広げたほか、7月には独商用車大手MANの株式の過半数を取得するなど、買収による拡大路線をとっている。VWがこのような経営戦略をとるなかで、スズキの鈴木修会長は2009年12月にVWと包括提携した際の記者会見で、今回の提携はあくまで対等である、と説明していた。
\ドイツのメディア報道によると、VWのマルティン・ヴィンターコルン社長は5月の株主総会で、スズキとの提携が当初予想したようなペースでは進んでいないと発言していた。VW側では、経営文化の違いが提携の進展をさまたげる一因ととらえているもようだ。
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