独自動車部品大手のZFフリードリヒスハーフェンは7月25日、風力発電設備向けのギアボックスを製造するベルギーのハンセン・トランスミションズ・インターナショナルに買収を提案したと発表した。今後の成長が予想される風力発電設備事業を強化することで、自動車業界に大きく依存する現行の事業ポートフォリオのバランスを調整する。
\ZFはロンドン株式市場で取引されているハンセンの株式を現金で1株当たり66ペンスで買収すると提案。同価格は7月22日の終値を約95.6%上回る水準で、過去3カ月の平均株価と比べても約60.2%も高い。ハンセンの企業価値を約4億4,480万ポンドと評価したもので、ハンセンの役員会は同提案に対し、公正で適切な条件であるとして株主に提案に応じるよう求めている。
\ハンセンは出力1メガワット以下の小型風力発電機向けから6メガワットを超える大型設備向けのギアボックスまで幅広い製品ラインアップを持つ。工場は本社のあるベルギー・ロンメルとインドのコインバトールのほか、中国の天津に試験設備および組み立て工場がある。従業員数は約1,450人で、2010/11年度(3月末締め)の売上高は約3億7,870万ユーロだった。
\一方、ZFは2009年末に風力発電設備事業に参入する計画を発表。2010年6月にデンマークの風力発電機世界最大手のヴェスタスからギアボックスを受注した。現在、米ジョージア州のゲーンズビルに工場を建設中で、2012年に生産を開始する予定。独経済紙『ハンデルスブラット』によると、ZFは同工場で中型のギアボックスを生産する計画。ZFはハンセンの買収により、生産拠点を欧州、アジア、米国に拡大し、風力発電設備事業をさらに強化する。
\ハンセンにはインドの風力発電機メーカーのスズロンと英投資会社のエコフィン(Ecofin)が合計で約38.4%を出資しているが、両社ともZFの買収提案に応じることで合意している。
\ドイツの自動車部品メーカーでは、ロバート・ボッシュが子会社のボッシュ・レックスロスを通して風力発電設備事業を展開するほか、太陽光発電事業を強化している。電気自動車など代替燃料車の普及により変速機や内燃エンジンなど従来の部品需要が低下する見通しであることが背景にあり、再生可能エネルギー関連事業の強化により自動車部品への依存度を引き下げる戦略を進めている。
\