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2015/9/11

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OptiCharge

この記事の要約

太陽光発電を利用した独立型の電気自動車用充電ステーションを開発するドイツの研究開発プロジェクト。コンテナの屋根に太陽光発電パネルを設置し、太陽光による電力をコンテナ内に設置したバナジウムレドックスフロー電池に充電する仕組 […]

太陽光発電を利用した独立型の電気自動車用充電ステーションを開発するドイツの研究開発プロジェクト。コンテナの屋根に太陽光発電パネルを設置し、太陽光による電力をコンテナ内に設置したバナジウムレドックスフロー電池に充電する仕組み。

実施期間は3年で、2015年8月1日にスタートした。独連邦経済エネルギー省(BMWi)が160万ユーロを支援している。

同プロジェクトには、ザールラント大学、カイザースラウテルン工科大学、バナジウムレドックスフロー電池を使用した定置用電池のメーカーであるシュミット・エナジー・システムズ、未来エネルギーシステム研究所(IZES)が参加している。

バナジウムレドックスフロー電池はすでに風力発電や水力発電の充電池として実用化されているが、電気自動車用の充電ステーションでの採用は新しい試みになるという。

レドックスフロー電池は、正極と負極に分かれた電解セルの間にイオン交換膜があり、各セルに入った価数の異なるバナジウムイオン溶液がイオン交換膜を通して移動する際にバナジウムイオンの価数が変化して充放電が行われる仕組み。

今回のプロジェクトでは、50セルをスタックに組み立てた電池を使用する。セルスタックにはバナジウムイオン溶液の入った2つのタンクと接続されている。

カイザースラウテルン工科大学は電池の制御システム(ソフトウエア)の開発を担当する。気象データに配慮したシステムで、天候の良い時に十分な電力を充電できるように充電スペースを確保するようなシステムを開発する。コンテナステーションへのソフトウエアの組み込みではIZESがサポートする。

今回のプロジェクトでは、シュミット・エナジー・システムズが開発した太陽光発電パネルを使用しないタイプのプロトタイプをベースに部品を改良していく。電解セルの構成要素である炭素繊維フリースの改良などを計画している。

また、充電状況を把握するためのチャージセンサーも開発する計画。バナジウムイオンの量を計測するシステムで、5価バナジウム(V5+)が多ければ電池が充電されており、4価バナジウム(V4+)が多いと放電が行われていることが分かるという。

同プロジェクトでは近く、IZESの拠点にパイロットプラントの建設を開始する予定。

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