2010/3/22

産業・貿易

欧州議会環境委が食品成分表示の法案承認、「信号システム」は見送り

この記事の要約

欧州議会の環境委員会は16日、EU域内で販売される食品と飲料にカロリーや主な栄養成分の表示を義務付ける法案を承認した。欧州委員会が2年前に打ち出した原案に800近い修正を加えた内容。焦点の1つだった各栄養成分の含有率を3 […]

欧州議会の環境委員会は16日、EU域内で販売される食品と飲料にカロリーや主な栄養成分の表示を義務付ける法案を承認した。欧州委員会が2年前に打ち出した原案に800近い修正を加えた内容。焦点の1つだった各栄養成分の含有率を3段階でカラー表示する「信号(traffic light)システム」に関しては、メーカーに表示を義務付ける案が否決された。5月末に予定される欧州議会本会議で法案について審議する。

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食品表示に関する新ルールは、食品や飲料を選ぶ際に目安となる重要な情報を分かりやすい形で提供し、EU市民の健康的な食生活を支援して肥満の蔓延に歯止めをかけるのが狙い。法案によると、メーカーはビール、ワイン、蒸留酒を除くすべての食品と飲料について、100ミリリットルあるいは100グラム当たり、または1個当たりのカロリーと全脂肪、飽和脂肪、炭水化物、糖質、塩分の含有量をパッケージの表側に明記することが義務付けられる。一方、欧州委案では炭水化物、食物繊維、天然および人工のトランス脂肪酸も表示義務の対象に含まれていたが、環境委はこれらの成分に関して任意表示とする修正案を承認した。

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英国などで導入されている信号方式のラベル表示に関しては、欧州委は業界側の強い反発を受けて義務化を見送ったが、欧州議会では欧州緑の党などの議員から、EU共通の基準に沿って主な栄養成分の含有率を3段階でカラー表示することをメーカーに義務付ける案が提出された。しかし、環境委では栄養成分に関する情報の表示方法に関してEUレベルでは一般的な原則を規定するにとどめ、具体的なルールは加盟国の判断に委ねるべきだとの主張が支持を集め、カラー表示を義務化する案は否決された。

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法案にはこのほか◇食肉類(家きん肉を含む)について原産国の表示を義務付ける◇ナノ素材を含む食品・飲料について含有量の表示を義務付ける――などが盛り込まれている。一連の食品表示ルールは法案成立から3年後に施行されるが、従業員100人未満または年間売上高500万ユーロ未満の事業者については5年間の移行期間を置く。

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