2010/5/3

産業・貿易

トラック運転手も労働時間指令の対象に、欧州議会が欧州委案を否決

この記事の要約

欧州議会の雇用・社会問題欧州委員会は4月28日、「道路輸送従事者の労働時間に関する指令」の対象から自営業のバスやトラック運転手を除外する欧州委員会の案を反対多数で否決した。運転手の長時間労働に起因するトラックやバスなどの […]

欧州議会の雇用・社会問題欧州委員会は4月28日、「道路輸送従事者の労働時間に関する指令」の対象から自営業のバスやトラック運転手を除外する欧州委員会の案を反対多数で否決した。運転手の長時間労働に起因するトラックやバスなどの事故を減らすには、自営運転手にも雇用されている運転手と同じ規制を適用すべきだと判断した。今後、欧州議会本会議で規制案について審議する。

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道路輸送はもともとEU労働時間指令の適用が除外されていたが、1990年代後半からEUレベルで労使間交渉が行われ、2002年に運転手の長時間労働を規制する指令が制定された。これは運転時間の他に荷降ろし、乗客の乗降補助、点検や清掃などを含めた労働時間を原則として週当たり48時間に制限することなどを柱とする内容。

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労使間では自営運転手も規制の対象とすることで合意しており、当初は09年3月から労働時間指令が適用されることになっていた。しかし、立場上は自営業でも実際には運送業者と雇用関係にあるケースが多いことから、欧州委員会はこうした運転手は事実上の雇用主を通じてすでに労働時間指令の枠組みに組み込まれていると指摘。規制を導入した場合の影響分析を踏まえて08年10月、自営運転手を労働時間指令の適用除外とする修正案を提示した。しかし、欧州議会は09年5月の本会議で欧州委案を否決。雇用・社会問題委で自営運転手の定義などについて改めて審議が行われていた。

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