2010/5/10

産業・貿易

EUがメルコスルとFTA交渉再開、フランスは農業問題で反発

この記事の要約

欧州委員会は4日、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイの4カ国で構成する南米南部共同市場(メルコスル)と自由貿易協定(FTA)を含む包括的な連合協定の締結に向けた交渉を再開することを決めたと発表した。交渉は19 […]

欧州委員会は4日、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイの4カ国で構成する南米南部共同市場(メルコスル)と自由貿易協定(FTA)を含む包括的な連合協定の締結に向けた交渉を再開することを決めたと発表した。交渉は1995年に始まったものの農業分野を中心に対立し、2004年に中断されたままとなっていた。

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欧州委のバローゾ委員長は「交渉再開により重要な好機をとらえる」として双方の雇用と成長にとって利益となると強調しながらも、交渉では知的財産権や地理的表示の保護などの条件を伴うことを指摘。農業を中心に特定分野に悪影響が及ばないようにする考えを示した。ただフランス議会の農業委員会は6日に交渉再開について反対する見解を表明した。フランスおよび欧州の農業にとって脅威となるとの理由からだ。

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メルコスルは過去数年間の経済成長率がブラジルで年に4~6%、アルゼンチンが6~9%など高成長を続けているが、関税が平均13%で、EUにとっての重要分野である自動車の関税が35%に上るなど関税障壁・非関税障壁が高い。欧州委はFTAの締結によりEUから同地域への輸出が年に約45億ユーロ拡大すると見込む。EU側は大部分の産業分野の製品について市場開放を求めているほかサービス分野での自由化を目指している。また公共調達や知的財産権、地理的表示、持続可能な開発に関する規定などでメルコスルから譲歩を引き出す考えだ。

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EUのメルコスルへの輸出額はカナダ向けや韓国向けを上回りインドと並んでおり、金融・経済危機までの4年間では輸出額が年平均15%以上の伸びを示していた。またEUからメルコスルへの投資額は1,650億ユーロを超え、EUから中国とインド、ロシアに対する投資を合わせた金額を上回っている。

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