2010/5/25

競争法

日立など半導体9社に3.3億ユーロ制裁、DRAM価格カルテルで=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は19日、日本の日立製作所、東芝などを含む世界の半導体大手10社が価格カルテルを結んでいたとして、うち9社に総額3億3,127万ユーロの制裁金支払いを命じたと発表した。今回のカルテルでは、欧州委が2008年に導 […]

欧州委員会は19日、日本の日立製作所、東芝などを含む世界の半導体大手10社が価格カルテルを結んでいたとして、うち9社に総額3億3,127万ユーロの制裁金支払いを命じたと発表した。今回のカルテルでは、欧州委が2008年に導入した和解手続きが初めて適用され、関係各社の制裁は10%減額された。

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制裁対象となったのは、日本の日立製作所、東芝、三菱電機、NEC、エルピーダメモリ、韓国のサムスン電子、ハイニックス半導体、ドイツのインフィニオン・テクノロジーズ、台湾の南亜科技。制裁額はサムスン電子が1億4,572万ユーロで最高。以下、インフィニオン(5,670万ユーロ)、ハイニックス(5,147万ユーロ)、日立(2,041万ユーロ)、東芝(1,764万ユーロ)、三菱(1,660万ユーロ)、NEC(1,029万ユーロ)、南亜科技(180万ユーロ)となっている。このほかにNEC、エルピーダ、日立は合弁事業を行っていた時期のカルテルについて、連帯責任で総額849万ユーロの制裁を科される。同様のケースで、NECと日立も連帯責任で212万ユーロを支払う。米マイクロン・テクノロジーもカルテルに加わっていたが、最初に欧州委に通報して摘発に協力したことから、制裁が全額免除された。

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欧州委によると、マイクロンを含めた10社は1998年から2002年にかけて、パソコンやサーバーに使われるDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)の欧州での販売について、機密情報を交換し、価格を取り決めていた。

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EUでは2008年から、カルテル疑惑が浮上して欧州委の調査対象となった企業が、調査段階でカルテルに関与したことを認め、調査に協力すれば、制裁を10%減額する和解制度が導入されている。正式な法的手続きに入る前に和解で問題を解決することで係争処理の負担を減らし、他のカルテル案件の摘発に集中する狙いがある。EUではカルテルで制裁対象となった企業が決定や制裁額を不服として提訴する例が少なくないが、今回の9社は制裁額についても同意しており、これで問題が決着したことになる。

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