欧州委員会は2日、仏原子力大手アレバと独総合電機大手シーメンスが民生用原子力技術の分野で結んだ取り決めがEU競争法に違反する疑いがあるとして、本格調査に入ったことを明らかにした。両社は2009年に原子力発電の合弁事業を解消したが、合弁契約に盛り込まれていた競業避止条項によって合弁解消後も公正な競争が制限されている可能性があると指摘している。同条項が競争法違反と認定された場合、合弁事業を完全取得したアレバは制裁金を課される可能性がある。
\アレバとシーメンスは01年に民生用原子炉製造の合弁会社アレバNPを設立。シーメンスはアレバNPの株式34%を保有していたが、独自の原発戦略を推進したいサルコジ仏大統領の意向で合弁解消を余儀なくされ、同年3月にロシアの国営原子力発電会社ロスアトムと原発事業で提携関係を結んだ。
\アレバはこれに対し、競業避止条項によって合弁解消から8年間は第3者との提携が禁止されており、シーメンスは同条項に違反したと主張。現在、スイスで仲裁手続きが行われている。一方、シーメンスは12年1月末以降に合弁会社の保有株をアレバに譲歩することになるが、評価額をめぐって両社の溝が深まっている。シーメンス側はアレバに圧力をかけるため、欧州委に対して昨秋、合弁契約に競業避止条項が持ち込まれていた事実を暴露。これを受けて欧州委が予備調査を進めていた。
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