2010/10/18

環境・通信・その他

環境対策でトラックに新通行料、「ユーロビニエット指令」改正案採択

この記事の要約

EU加盟国は15日の運輸相理事会で、EU域内の幹線道路を通行する大型商用車に対する課金ルールを定めた「ユーロビニエット指令」の改正案を採択した。トラック輸送の増加に伴う渋滞や環境の悪化に歯止めをかけることを目的として、大 […]

EU加盟国は15日の運輸相理事会で、EU域内の幹線道路を通行する大型商用車に対する課金ルールを定めた「ユーロビニエット指令」の改正案を採択した。トラック輸送の増加に伴う渋滞や環境の悪化に歯止めをかけることを目的として、大型トラックなどを対象に、排ガスによる大気汚染や騒音対策のためのコスト負担を利用者に求める課金システムを導入するという内容。欧州議会の承認を経て実施する。

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1999年に採択されたユーロビニエット指令は加盟国が道路インフラの整備費用を確保するため、域内の主要都市を結ぶ「欧州横断交通ネットワーク(TEN-T)」を通行する総重量3.5トン以上の商用車を対象に、走行距離や走行時間に応じて通行料を課すことを認めている。対象車両に課金するか否かは加盟国の判断によるが、課金する場合は同指令の枠組みに沿って実施しなければならない。

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改正案によると、TEN-T以外の幹線道路も含む域内の有料道路およそ3万キロを走行する3.5トン以上のトラックなどは、道路の維持管理を目的とした従来からの通行料に加え、新たに環境対策のための通行料が課される。現行制度と同様、課金するかどうかは加盟国に判断が委ねられ、料金水準も各国がそれぞれ実情に合わせて決めることができる。利用者側の負担は道路や車両タイプによって異なるものの、現在は走行1キロメートル当たり概ね15~25セント程度だが、新たに環境対策のための課金システムが導入された場合、およそ20~30%(1キロメートル当たり平均3~4セント)増大する見通し。徴収された通行料は車の環境技術や次世代輸送インフラなどの研究開発に充てられる。なお、ロンドンやストックホルムで導入されている渋滞緩和を目的とする課金システムは、新ルールの対象から除外される。

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大型トラックなどに環境対策の費用を課金する制度をめぐっては、オーストリアやフランスなどが導入を支持する一方、イタリアやスペインなどは企業側の負担増に対する懸念から導入に難色を示し、2年以上にわたって議論が続いていた。欧州委員会のカラス副委員長(運輸担当)は「持続可能な輸送システムの実現に向け、事業者により効率的な物流システムと環境対応車への投資を促すことが新ルールの狙いだ」と強調している。

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