2011/1/17

総合 –EUウオッチャー

南欧諸国の国債入札順調、信用不安が一時後退

この記事の要約

ポルトガル、スペインが13日までに相次いで長期国債の入札を実施した。いずれも投資家の需要が旺盛で、予定上限額の調達に成功した。財政難に直面する両国が今年初めて実施した長期債発行が順調に消化できたことで、ユーロ圏の信用不安 […]

ポルトガル、スペインが13日までに相次いで長期国債の入札を実施した。いずれも投資家の需要が旺盛で、予定上限額の調達に成功した。財政難に直面する両国が今年初めて実施した長期債発行が順調に消化できたことで、ユーロ圏の信用不安はやや後退した格好だ。

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ポルトガルは12日、期間約4年と約10年の国債入札を実施。合わせて約12億5千万ユーロを調達した。スペインは13日に5年物国債の入札を行い、30億ユーロを調達した。

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市場では特にポルトガルの起債の行方に注目が集まっていた。同国はギリシャ、アイルランドに次いでEUと国際通貨基金(IMF)に緊急金融支援を要請する可能性が高いとみられ、10年物国債の利回りが危険水準とされる7%を上回っていたためだ。しかし、欧州中欧銀行(ECB)が直前にポルトガル国債を買い支えたこともあって、7億5,000万~12億5,000万ユーロに設定していた目標額の上限を調達。期間約10年の国債には3.2倍の応募があった。平均落札利回りは10年物が6.716%と、前回入札(昨年11月10日)の6.806%を下回った。4年物の利回りは5.396%で、前回(10月27日)の4.041%から上昇した。

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この流れを受けて翌日に実施されたスペイン国債の応募も2倍を超え、目標上限額を調達。利回りは前回(11月4日)の3.576%を上回る4.542%だった。同日にイタリアが実施した5年物、15年物国債の入札も順調で、60億ユーロを調達した。

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ポルトガルをめぐっては、10年物国債の利回りが7%を超える水準にあった10日前後には、自力での資金調達は困難との見方が浮上。ドイツ、フランスがユーロ圏の信用不安拡大を食い止めるため、同国にEU、IMFへの支援要請を行うよう圧力をかけているとの観測も出ていた。今回の起債が順調に終わったことで、こうした懸念は和らいだ形となっている。ただ、同国は年内に最大で総額約200億ユーロの国債を発行する必要がある。利回りがなお高水準にある中、市場では今後の起債が順調に進むかどうか不安視する向きもあり、EUなどへの支援要請が不可避との観測は根強い。

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