2011/2/28

総合 –EUウオッチャー

アイルランドで14年ぶり政権交代へ、支援条件めぐる交渉が最初の課題に

この記事の要約

財政・金融危機に陥っているアイルランドで25日、下院総選挙が行われ、27日未明(日本時間27日昼)までの開票作業で与党・共和党が大幅に議席を減らす一方、最大野党の統一アイルランド党が第1党に躍進し、14年ぶりの政権交代が […]

財政・金融危機に陥っているアイルランドで25日、下院総選挙が行われ、27日未明(日本時間27日昼)までの開票作業で与党・共和党が大幅に議席を減らす一方、最大野党の統一アイルランド党が第1党に躍進し、14年ぶりの政権交代が確実になった。単独過半数には届かないため、統一アイルランド党は中道左派の労働党との連立を模索するものとみられるが、財政危機をめぐる失政が直接の引き金となって政権与党が野党に転落する最初のケースとなる。

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アイルランドでは昨年の財政危機への対応をめぐってカウエン首相が国民の厳しい批判にさらされ、議会の解散に追い込まれた。午前3時までに改選165議席(非改選の議長を除く)のうち110議席が確定し、統一アイルランド党が50議席を獲得したのに対し、共和党はわずかに9議席と惨敗。国営放送RTEの出口調査によると、統一アイルランド党が得票率36.1%と、約70議席を獲得する見通しで、以下、労働党(20.5%)、共和党(15.5%)、左派シン・フェイン党(10.1%)、無所属(15.5%)となっている。統一アイルランド党のケニー党首はRTEのニュース番組に出演し、3月9日に開催予定の下院本会議で首相に選出されるとの見通しを示したうえで、「アイルランドの再生に向けて安定した政権運営を目指す」と述べた。

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アイルランドでは昨年、資金難が深刻化した国内の主要銀行への救済策で財政難に陥り、国内総生産(GDP)に対する財政赤字が32%に拡大。このためEUは国際通貨基金(IMF)と共同で同国に対し、最大850億ユーロの緊急融資を決定した。統一アイルランド党はEUに対し、金融支援の金利を引き下げるよう求めていくことを選挙公約の1つに掲げており、新政権にとって支援条件をめぐるEUとの再交渉が最初の課題になりそうだ。

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