2011/3/14

産業・貿易

EUは金融取引税導入を、欧州議会が決議採択

この記事の要約

欧州議会は8日の本会議で、EUに新たな財源確保のため金融取引税(Financial Transaction Tax=FTT)の導入を求める決議を賛成多数で採択した。決議に法的拘束力はないが、何らかの新税導入を検討中の欧州 […]

欧州議会は8日の本会議で、EUに新たな財源確保のため金融取引税(Financial Transaction Tax=FTT)の導入を求める決議を賛成多数で採択した。決議に法的拘束力はないが、何らかの新税導入を検討中の欧州委員会に圧力をかけた格好で、EU次期中期予算(対象期間:2014~20年)の策定に際してFTT導入の可否が大きな焦点となりそうな雲行きだ。

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「トービン税」と称される金融取引税は、EU内で活動する金融機関を対象に、株式や債券、外国為替などの取引に課税するもの。投機的な取引を抑えるほか、税収を環境対策や途上国支援などに活用することを目的としている。欧州議会の試算では、0.05%の課税で税収は年2,000億ユーロに上る。

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FTTをめぐっては、ドイツが導入を提唱し、昨年9月のEU臨時首脳会議で協議されたが、EUだけで導入すると資金や金融取引が域外に流出するとの意見が多く、棚上げとなっている。欧州委はEU予算で加盟国の分担金に依存する体質を改善するため、域内共通の新税を導入することを検討しており、FTTも候補となっているが、国際レベルで各国が足並みをそろえて導入しないとEUが不利になるため、FTTよりも金融機関の利益、報酬に課税する「金融活動税(Financial Activities Tax=FAT)」の方に傾いている。

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欧州議会の決議は、FTTは世界的な導入が望ましいとしながらも、それが不可能な場合は「第一段階として」EU単独でも導入するべきだとしている。

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