2011/5/9

総合 –EUウオッチャー

シェンゲン協定見直しで国境管理強化へ、北アフリカからの移民流入対策で

この記事の要約

欧州委員会は4日、EU加盟国などが出入国審査を廃止し、旅行者が域内をパスポートなしで移動できるようにする「シェンゲン協定」を見直す意向を表明した。チュニジアなど北アフリカから大量の不法移民が流入していることを受けたもので […]

欧州委員会は4日、EU加盟国などが出入国審査を廃止し、旅行者が域内をパスポートなしで移動できるようにする「シェンゲン協定」を見直す意向を表明した。チュニジアなど北アフリカから大量の不法移民が流入していることを受けたもので、「例外的な状況」に限って各国が一時的に出入国審査を実施することを認める。詳細は12日のEU特別内相理事会で協議し、6月24日のEU首脳会議で決まる見通しだ。

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EUでは1月にチュニジアで起きた政変を機に、同国など北アフリカ諸国から地中海を隔てたイタリアに大量の移民、難民が流入している。対応に苦慮したイタリア政府が一時的に滞在許可を出し、北アフリカ系移民が多いフランスに送り出したことから、フランス当局がイタリアとの国境を一時的に閉鎖する事態に発展。両国は同問題への対応策として、EUにシェンゲン協定の見直しを求めていた。

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欧州委のマルムストロム委員(内務担当)は、ある加盟国が国境での出入国を管理できないような「不測の事態」に陥った場合には、例外的に出入国審査の復活を認めることを提案。これが実現すると、例えばフランスがイタリアとの国境でパスポートのチェックを行い、不法移民の流入を阻止できるようになる。

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シェンゲン協定には現在、英国とアイルランド、ルーマニア、ブルガリア、キプロスを除くEU諸国とノルウェー、アイスランド、スイスの計25カ国が参加している。

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