2011/5/16

総合 –EUウオッチャー

欧州議会がロビイスト登録制導入を可決、欧州委と登録簿を統合

この記事の要約

欧州議会は11日の本会議で、欧州議会と欧州委員会に接触を図るロビイストの情報を一元管理する共通登録制度の導入計画を賛成多数で可決した。両機関は昨年11月、それぞれ個別に管理しているロビイストの登録簿を統合する「透明性のた […]

欧州議会は11日の本会議で、欧州議会と欧州委員会に接触を図るロビイストの情報を一元管理する共通登録制度の導入計画を賛成多数で可決した。両機関は昨年11月、それぞれ個別に管理しているロビイストの登録簿を統合する「透明性のための登録」と名づけたイニシアチブで合意しており、今年6月からオンライン共通登録システムの運用を開始する。

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EU内ではさまざまな分野の専門知識を持つロビイストが関連機関に働きかけを行い、法律の策定や政策決定に大きな影響を与えている。欧州議会は1996年、欧州委は2008年からそれぞれ任意の登録制度を導入しているが、ロビー活動を規制する明確なルールが整備されていないため実態は把握できていないのが現状だ。欧州議会はロビー活動の透明性を高めるため、08年に閣僚理事会を加えた3機関共通のデータベースを構築する構想を賛成多数で可決。その後の協議を通じ、まず欧州委と登録システムを統合することで合意した。

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共通データベースへの登録は任意ベースとなるが、欧州議会に出入りするすべてのロビイストは実質的に事前登録が義務付けられる。欧州議会はイニシアチブの名称を「ロビー」から「透明性」に変更したことで、企業や利益団体の要請で活動するプロのロビイスト以外に、シンクタンク、非営利組織、宗教団体などの担当者も登録しやすくなるとみている。本会議ではこのほか、主要な欧州議員に接触したすべてのロビイストの名簿を作成し、年次報告書に添付する案も承認された。

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欧州議会のブセク議長は声明で「『透明性のための登録』は、EU機関がクリーンで説明可能な意思決定を行ううえで重要な一歩となる。EUルールが異なるグループにどのような影響を与えているかを知るうえで、ロビー団体や権利擁護団体の存在は欠かせないが、不正な方法で意思決定が左右されることがあってはならない」と強調。閣僚理事会にも引き続き共通登録制度への参加を呼びかけていく方針を示している。

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