2011/5/23

産業・貿易

加盟国が空売り規制強化で合意、CDSの現物なし取引は容認

この記事の要約

EU加盟国は17日の財務相理事会で、株式や国債の空売りなど投機性が高い取引の規制強化について合意した。国家や企業の信用リスクを売買するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)も含めて、空売りを厳しく制限することが柱。た […]

EU加盟国は17日の財務相理事会で、株式や国債の空売りなど投機性が高い取引の規制強化について合意した。国家や企業の信用リスクを売買するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)も含めて、空売りを厳しく制限することが柱。ただ、CDSについては、現物手当てのない空売りの禁止を求める欧州議会の案を退け、制限付きながらも認めることになった。

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合意された規制案では、株式、国債、CDSの空売りを厳しく制限するほか、売り持ち(ショートポジション)が一定の規模に達した投資家に対して、当局や市場に報告することを義務付ける。異常な値動きを示すなど緊急事態が生じた際は、欧州証券監督機構(ESMA)に各国と協議した上で空売りを一時的に停止する権限が与えられる。

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規制案で最大の焦点となっていたのは、現物による裏付けがないCDSの空売り。欧州委員会が昨年9月に発表した原案では、投資家に現物手当てが可能であることの証明を義務付けるという制限付きで、認める方針を打ち出していた。これに対して欧州議会は3月、空売りを行った日のうちに現物を確保することを義務付けることで、現物手当てのないCDSの空売りを事実上禁止する修正案を採択。欧州委より厳しい姿勢を示していた。

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欧州議会案に対しては、ドイツなどが支持した一方、英国など多くの国が厳しすぎるとして反発。財務相理事会は最終的に、欧州委の提案に沿った規制案で合意した。

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規制案成立には欧州議会の承認が必要。加盟国側が議会の修正案を退けたことで、調整は難航が予想される。

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