米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が国際的な証券識別コード(ISIN)の利用に対して設定している料金システムをめぐり、欧州委員会がEU競争法に違反する疑いがあると指摘していた問題で、S&Pは料金設定の見直しを提案した。欧州委が16日明らかにした。
\米国ではS&Pが唯一の付番機関(NNA)として、米銀行協会の委託により有価証券の銘柄を識別する証券コードを管理している。欧州の銀行や投資会社などが米国で付番されたISINを利用して、S&Pのほかトムソンロイターやブルームバーグなど金融情報サービス会社のデータベースにアクセスするたびに、ライセンス料が課金される。
\これについて欧州委はEU内の金融機関や投資会社の業界団体からの苦情を受け、2009年1月に調査を開始した。同年11月、S&P以外の付番機関は無料または実費手数料のみで情報提供を行っており、「S&Pが米国における独占的地位を利用して欧州の顧客から不当にライセンス料を徴収している疑いがある」とする初期調査の結果を公表。同社の商慣行が不当な料金設定を招き、公正な競争を阻害しているとして、異議告知書を送付していた。
\欧州委によると、S&Pが提案している料金設定の見直し案は、欧州の金融サービス会社や銀行・投資会社がISINを利用して同社に直接アクセスする場合には年間1万5,000米ドルを上限に課金することとし、銀行や投資会社が金融情報サービス会社を通じて間接的にISINを利用する場合は課金しないという内容。S&Pの提案は、利害関係者からの意見を求める「市場テスト」に付され、問題がないと判断されれば、欧州委の同社に対する調査は終了する。
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