2011/5/30

総合 –EUウオッチャー

バルカン諸国のビザ取得義務復活へ、難民対策で欧州委が提案

この記事の要約

欧州委員会は24日、EUが域外の第三国に認めた旅行者のビザ(査証)取得義務免除を一時的に取り消すことができるようにすることを提案した。バルカン諸国からの難民申請が急増していることを受けたもので、6月9日に開くEU内相理事 […]

欧州委員会は24日、EUが域外の第三国に認めた旅行者のビザ(査証)取得義務免除を一時的に取り消すことができるようにすることを提案した。バルカン諸国からの難民申請が急増していることを受けたもので、6月9日に開くEU内相理事会での採択を目指す。

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EUは加盟を目指すバルカン諸国のうちモンテネグロ、マケドニア、セルビアには2009年末から、ボスニア・ヘルツェゴビナとアルバニアには昨年末から、市民が「シェンゲン協定」加盟国を旅行する際のビザ取得義務を免除している。しかし、セルビアなどから旅行者として入った人が難民申請をするケースがベルギー、ドイツ、スウェーデンで急増。これらの国がEUに対策を促していた。

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EUの現行ルールでもビザ取得義務を復活させることができるが、通常の手続きを踏むため、実現まで2~3年が必要となる。欧州委の提案では、ある加盟国がビザ復活を求めた場合、手続きを簡素化し、緊急セーフガード措置として認めるという内容。ただし、同措置の発動は「例外的な状況」に限り、欧州委の承認を必要とする。

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EUではチュニジアの政変をきっかけに北アフリカ諸国からイタリア、フランスに大量の難民や不法移民が流入していることを受け、EU加盟国などが出入国審査を廃止し、旅行者が域内をパスポートなしで移動できるようにするシェンゲン協定の見直しも検討中で、6月24日のEU首脳会議で決定する見通しとなっている。

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