深刻な財政危機に直面するギリシャの2位銀行EFGユーロ銀行と同3位のアルファ銀行は8月29日、合併で合意したと発表した。EUが域内銀行を対象に実施したストレステスト(健全性審査)で“不合格”とされたEFGユーロ銀をアルファ銀が吸収する形となる。合併で誕生する新銀行「アルファ・ユーロ銀行」は資産総額でギリシャ・ナショナル銀行(NBG)を抜き、国内最大手銀行に浮上する。
\合併は株式交換方式で行われる。交換比率はEFGユーロ銀株式7株につきアルファ銀株式5株。統合後の出資比率はアルファ銀57.5%、EFGユーロ銀42.5%となる。12月半ばの合併手続き完了を見込む。
\EFGユーロ銀はEUの欧州銀行監督機構(EBA)が7月中旬に結果を公表した最新ストレステストで資本不足と認定された8銀行のひとつで、資本増強を求められている。統合で発足するアルファ・ユーロ銀行は総額39億ユーロの増資を行う計画。12億5,000万ユーロの新株発行、カタールの投資会社パラマウント・サービス・ホールディングスから5億ユーロの出資を受けることなどが決まっている。これによりパラマウントはアルファ・ユーロ銀行の株式17%を保有することになる。
\ギリシャの銀行は同国の財政危機に伴って、保有するギリシャ国債の大きな評価損が生じたことや景気不振で収益を大きく圧迫されており、同国財務省は合併による体力強化を呼びかけている。現最大手のNBG は今年に入って、EFGユーロ銀、アルファ銀と買収交渉を行ったが、不調に終わった経緯がある。今回の合併が引き金となって同様の動きが出ることが予想される。市場ではNBGが4位ピレウス銀行の買収に乗り出すとの観測が浮上している。
\アルファ・ユーロ銀行の資産総額は1,460億ユーロ。ギリシャのほかブルガリア、ルーマニア、セルビア、キプロスなど8カ国に1,300以上の支店を持つ最大手銀行となる。
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