2011/10/10

産業・貿易

オイルサンドからの石油採取禁止、環境対策で欧州委決定

この記事の要約

欧州委員会は4日、環境保護の観点からオイルサンド(油砂)からの石油採取を禁止することを決めた。オイルサンドはEU内にほとんどないことから、オイルサンドを原料とした石油製品の輸入を禁止する形となる。近く正式発表する見通しだ […]

欧州委員会は4日、環境保護の観点からオイルサンド(油砂)からの石油採取を禁止することを決めた。オイルサンドはEU内にほとんどないことから、オイルサンドを原料とした石油製品の輸入を禁止する形となる。近く正式発表する見通しだ。

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オイルサンドは高粘度の油分を含む砂岩。石油精製の過程で出る温室効果ガスは、通常の油田での採掘と比べて25%程度多いとされる。

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欧州委は輸送燃料の二酸化炭素(CO2)排出を厳しく制限するルールの一環として、オイルサンド禁止を決めた。世界最大のオイルサンド生産国であるカナダやべネスエラが大きな影響を受けることになる。

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英フィナンシャル・タイムズによると、ヘデゴー委員(気候変動担当)が提唱した同規制をめぐっては、エッティンガー委員(エネルギー担当)が難色を示すなど、欧州委内で見解が分かれたが、賛成派がEUの重視する環境対策の重要な問題として押し切り、採択された。

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カナダ政府はEUでオイルサンド禁止が浮上してから同措置導入に反発し、EUとカナダの自由貿易協定(FTA)締結交渉でも問題となっていた。EUが反対を押し切って禁止を決めたことで反発が強まるのは必至で、カナダ政府が世界貿易機関(WTO)に提訴する可能性も取りざたされている。

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