2011/11/14

環境・通信・その他

米と旅客情報提供の新協定で合意、データ保持期間の一部短縮など

この記事の要約

欧州委員会は10日、EU域内から米国に向かう旅客機の乗客情報の提供に関する新協定の内容で米政府と基本合意したことを明らかにした。AFP通信によると、米側でのデータ保持期間を一部短縮するなど、プライバシー保護の観点から現行 […]

欧州委員会は10日、EU域内から米国に向かう旅客機の乗客情報の提供に関する新協定の内容で米政府と基本合意したことを明らかにした。AFP通信によると、米側でのデータ保持期間を一部短縮するなど、プライバシー保護の観点から現行協定の見直し求めるEU側に配慮した内容となっているもよう。EU閣僚理事会と欧州議会で新協定の承認手続きに入る。

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米国は2001年9月の同時多発テロ以降、国内を離発着する航空会社に旅客情報の提供を義務づけている。これに応じてEUは04年5月、域内から米国に向かう旅客機の乗客について氏名、住所、電話番号、座席番号、クレジットカード番号、飛行ルートなどの個人情報を米当局に報告することを航空会社に義務付ける協定を結んだ。

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しかし、欧州司法裁判所は06年5月、同協定はEUのデータ保護指令に違反するとして、協定の無効化を求めて提訴した欧州議会の主張を支持する判決を出した。これを受けてEUと米国は07年7月末を有効期限とする暫定的な協定を結んだ上で、情報提供の範囲や目的などについて見直しを進め、同年7月26日、新たに7年間有効な協定を締結。米側に提供する個人情報の項目を大幅に減らすことや、情報提供から7年が経過したデータは「休眠データ」として扱い、特別な手続きを踏まなければアクセスできなくすることなどが盛り込まれた。ただ、EU側では欧州議会を中心に、依然としてプライバシー保護に対する懸念が根強く、米国との間で現行協定の見直しに向けた協議が続いていた。

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新協定の具体的な内容は明らかにされていないが、AFPによると、テロ犯罪に関連した情報のデータ保持期間は最大15年で据え置かれる一方、麻薬取引や人身売買を含む組織犯罪に関連した個人情報の保持期間は最大10年に短縮される。また、米側に提出された個人の氏名や連絡先などのデータは提供から6カ月後にすべて匿名化され、休眠データとなるまでの期間も現在の7年から5年に短縮される。

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欧州委の報道官は会見で「EUにとって新たな合意は大きな前進といえる。新協定はPNR(旅客名記録)データが国境を越えた犯罪やテロとの戦いという、厳格かつ明確に制限された目的のために使用されることを保証するものだ」と述べた。

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