2012/2/6

競争法

独取引所とNYSEの合併破談、EUが計画承認せず

この記事の要約

フランクフルト証券取引所を傘下に持つドイツ取引所とニューヨーク証券取引所などを運営するNYSEユーロネクストは2日、合併計画を撤回すると発表した。欧州委員会が1日、欧州のデリバティブ(金融派生商品)市場で著しく競争を阻害 […]

フランクフルト証券取引所を傘下に持つドイツ取引所とニューヨーク証券取引所などを運営するNYSEユーロネクストは2日、合併計画を撤回すると発表した。欧州委員会が1日、欧州のデリバティブ(金融派生商品)市場で著しく競争を阻害するとして、両取引所の合併を承認しない決定を下したのを受けた措置。双方の株主や米証券取引委員会(SEC)はすでに合併を承認しており、実現すれば世界最大の証券取引所運営会社が誕生するはずだったが、最後の関門を越えられず計画はとん挫した。

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ドイツ取引所とNYSEは昨年2月に合併で合意した。欧州委はドイツ取引所が先物取引などを扱うユーレックスを、NYSEがロンドン国際金融先物取引所(LIFFE)を傘下に置き、合併後の新会社は欧州のデリバティブ取引市場で90%以上のシェアを握る点を問題視し、8月から本格調査に着手。10月に当初の計画のままでは合併を認めることはできないとする異議告知書を双方に送付した。これを受けて両取引所は11月、デリバティブ関連事業の一部売却を軸とする妥協案を提示し、欧州委が市場参加者の意見を聞きながら慎重に検討を進めていた。  ドイツ取引所とNYSEは合併を通じてデリバティブの流動性が高まり、顧客の利益につながると主張していたが、欧州委はデリバティブの取引所取引で勢力を二分するユーレックスとLIFFEの合併を認めれば深刻な市場独占が形成され、競争相手がなくなることで手数料が上昇するなどの弊害が生じる恐れがあると指摘。提案された事業売却もLIFFEのエクイティ・デリバティブなどごく一部に限定されており、競争法上の懸念を払拭するものではないとして、「合併を阻止する以外の選択肢はない」と結論づけた。

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ドイツ取引所のフランチオーニ最高経営責任者(CEO)は欧州委の決定を受け、「世界の金融市場における競争力の面で欧州にとって失意の日だ」とコメント。NYSEも声明で「デリバティブ市場について根本的に異なる解釈に基づいて決定が下された」と指摘し、欧州委の判断を強く批判している。

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