2012/2/13

環境・通信・その他

EU排出量取引制度への参加禁止、中国が国内航空会社に

この記事の要約

EUが1月に導入した航空部門に対する温室効果ガス排出規制をめぐり、中国政府は6日、国内の航空会社がEUのルールに従うことを禁止する方針を表明した。中国側は域外の航空会社を一方的に規制の対象とすることは国際法に違反すると批 […]

EUが1月に導入した航空部門に対する温室効果ガス排出規制をめぐり、中国政府は6日、国内の航空会社がEUのルールに従うことを禁止する方針を表明した。中国側は域外の航空会社を一方的に規制の対象とすることは国際法に違反すると批判しており、中国民用航空局は新規制を理由に政府の承認を得ずに運賃を引き上げることを禁止する通達を国内各社に出した。航空部門に対するEUの規制をめぐっては、米国で対抗法案が審議されているほか、日本、インド、ロシアなども反対を表明しており、7日には国際航空輸送協会(IATA)のトップがEUのスキームは「主権に対する攻撃」と発言するなど、国際的な風当たりが強まっている。

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新規制は排出量取引制度(EU-ETS)に基づいて域内の空港を離着陸する全航空会社に二酸化炭素(CO2)の排出削減を義務づけ、達成できなければ超過分の排出枠を購入するか、制裁金を支払うという内容。新たな規制の導入によってほとんどの航空会社が新たなコスト負担を強いられるのは確実で、IATAは排出枠の購入費用が2020年までに業界全体で175億ユーロに達するとの見方を示している。

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EUに対する批判の急先鋒に立っているのは米国と中国で、中国航空運輸協会(CATA)は先月、新規制の適用によって生じる排出枠の購入義務を拒否する方針を表明。EUに対して報復措置を講じるよう中国政府への働きかけを強める方針を示していた。中国側は新規制による国内航空会社の負担増が年間8億元(9,600万ユーロ)に上り、20年には4倍に膨らむとみている。

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一方、IATAのタイラー事務局長は欧州航空会社の首脳陣やEU当局者の会合で講演を行い、EU域外の国は新規制を「主権を脅かす地球規模の課税」とみていると指摘。現時点で少なくとも43カ国が規制に反対しているとして、EUが一方的に域内ルールを押し付ければ深刻な通商紛争に発展しかねないと警告し、国連の専門機関である国際民間航空機関(ICAO)の枠組みで国際的な合意に基づいたルール作りを進めるべきだとの考えを示した。

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これに対し、欧州の格安航空会社が加盟する団体ELFAAのハンロン事務局長はAFPの取材に対し、EUと同等の対策を講じている国の航空会社については規制の適用を除外する規定が設けられている点に言及。米国や中国は対抗措置をちらつかせてEUに圧力をかける「砲艦外交」を直ちにやめて、航空機に対する排出規制を真剣に検討すべきだと強調している。

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