2012/3/5

環境・通信・その他

欧州議会産業委、エネルギー効率指令案を承認

この記事の要約

欧州議会の産業・研究・エネルギー委員会は2月28日、EU全体で2020年までにエネルギー効率を20%改善する目標を達成するための具体策を盛り込んだ指令案を賛成多数で承認した。国別に拘束力のある省エネ目標を設定して期限内の […]

欧州議会の産業・研究・エネルギー委員会は2月28日、EU全体で2020年までにエネルギー効率を20%改善する目標を達成するための具体策を盛り込んだ指令案を賛成多数で承認した。国別に拘束力のある省エネ目標を設定して期限内の達成を義務づけるなど、欧州委員会が昨年6月に打ち出した原案よりも踏み込んだ内容となっている。EU閣僚理事会と欧州議会による調停委員会で最終案をまとめ、欧州議会本会議で採決を行う。

\

EUは温暖化対策の一環として20%の省エネ目標を掲げ、家電製品や建築物などのエネルギー効率を高めるためにさまざまな施策を導入している。しかし、欧州委は現行の取り組みでは20年時点で10%程度の省エネにとどまると試算。加盟国にエネルギー効率基準に基づく公共調達を義務づけることや、公共施設の省エネ促進策などを柱とする指令案をまとめ、閣僚理事会と欧州議会で審議が行われている。

\

原案には欧州委が14年時点の進捗状況に基づき、EU全体での目標達成が困難と判断した場合に国別の数値目標を設定し、各国に達成を義務づけることが盛り込まれていた。これに対し、産業委で可決された修正案によると、予め欧州委が各国の実情を考慮して国別に拘束力のある省エネ目標を設定し、加盟国に20年までの達成を義務づける。また、欧州委は14年6月までに30年を達成期限とする新たな省エネ目標を定める。さらに余剰排出枠が発生して排出権価格が下落し、省エネ関連の技術開発や設備投資が停滞する事態を避けるため、欧州委に対して排出枠の引き下げを含めた対策を講じる権限を与えることも盛り込まれた。

\

一方、EU各国の公的機関は製品やサービスの調達に際し、エネルギー効率を選定要件に盛り込まなければならない。また、14年以降は公共施設の省エネリフォームを毎年実施することが義務づけられ、使用可能な床面積が250平方メートル以上の公共建築物を対象に、総床面積の少なくとも2.5%を毎年改装して断熱材や二重窓などの導入を進めることが求められる。

\

このほか域内のエネルギー供給業者および小売業者は一般家庭を含めたエンドユーザーにエネルギー効率の改善を促すことで、自らが販売するエネルギー量を過去3年間の平均と比べて毎年1.5%削減することが義務づけられる。さらに14年7月以降、域内の大企業を対象に、4年ごとにエネルギー使用量や建物のエネルギー効率などに関する監査を義務づけるルールも指令案に盛り込まれている。

\