2012/5/7

競争法

ロイターが新たな改善策提示、市況データ配信独占問題で

この記事の要約

ニュース・金融情報配信大手のトムソン・ロイターがリアルタイムの市況データ配信サービスで独占的な地位を乱用している疑いがあるとして、欧州委員会が調査を進めている問題で、同委の報道官は4日、トムソン・ロイターから新たな譲歩案 […]

ニュース・金融情報配信大手のトムソン・ロイターがリアルタイムの市況データ配信サービスで独占的な地位を乱用している疑いがあるとして、欧州委員会が調査を進めている問題で、同委の報道官は4日、トムソン・ロイターから新たな譲歩案が提示されたことを明らかにした。同社の広報担当も欧州委に新たな提案を行ったことを認めているが、追加的措置の具体的な内容は不明。トムソン・ロイターは制裁を回避するため、昨年12月に改善策を提示したが、市場テストで「対応が不十分」といった声が上がっていた。

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問題となっているのは、顧客が株価などの情報検索に使用する「RIC」と呼ばれるトムソン・ロイター固有の銘柄識別コード。欧州委によると、同社は顧客がRICを同業他社のコードに置き換える「マッピング」と呼ばれる行為を妨げ、二次利用を不当に制限して他社のサービスを利用しにくい状況をつくっているとの疑いがもたれている。トムソン・ロイターはこれに対し、ライセンス料を支払った顧客にRICの二次利用を認める改善策を提示。欧州委は金融機関などにとって選択肢が増え、市況データのプロバイダー間で競争が促進されると一定の評価を与えたが、市場テストでは競合他社や一部の顧客からさらなる対応を求める意見が寄せられ、欧州委とトムソン・ロイターの間で追加的な措置について話し合いが続いていた。

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欧州委のコロンバーニ報道官はロイター通信に対し、「トムソン・ロイターから新たな改善策の提案があった」と明言。同社の広報担当も欧州委に新たな譲歩案を提示したことを認めているが、「顧客の懸念に対応するため」と述べるにとどめ、具体的な内容には言及しなかった。

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