2012/5/21

環境・通信・その他

フライト遅延は金銭補償の対象、欧州裁判決を法務官が支持

この記事の要約

航空機が遅延した場合の旅客への補償をめぐる欧州司法裁判所の判決を不服として欧州の航空会社と旅行会社が訴えている問題で、欧州司法裁判所(ECJ)のボット法務官はこのほど、判決を支持する見解を示した。\ ECJは2009年、 […]

航空機が遅延した場合の旅客への補償をめぐる欧州司法裁判所の判決を不服として欧州の航空会社と旅行会社が訴えている問題で、欧州司法裁判所(ECJ)のボット法務官はこのほど、判決を支持する見解を示した。

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ECJは2009年、航空機の到着時間が3時間以上遅れた場合、搭乗者は航空会社に金銭的補償を要求することができるとする判決を下した。この判決をめぐっては一部の航空会社が負担増につながるとして反発。ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)、イージージェット、TUIトラベル、国際航空運送協会(IATA)は、英民間航空局(CAA)に対し、04年に導入されたEUの航空旅客保護規則は、航空機の遅延を旅客に補償する義務を航空会社に負わせるものではないことを確認するよう要請したが、CAAがこれを拒否したため、英最高裁判所に判断を求めた。ECJは英最高裁からこの問題を付託され、年内に決定を下す見通しとなっている。

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09年のECJ判決は、フライトに3時間以上の遅れが出た場合、航空会社は乗客に250~600ユーロの補償を支払うことを求めている。航空会社側は、補償額が乗客が航空券に支払った金額を上回るケースもあり、負担が大き過ぎると主張している。ボット法務官は「補償規定の対象となる可能性のあるフライトは全体の1.2%以下」であり、「遅れが3時間を超えるケースは全体の0.5%に満たない」と指摘。負担が不相応に重いという航空会社の主張は誇張されているとの認識を示した。

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法務官の見解に法的拘束力はないが、ECJはおよそ8割のケースで法務官の意見に沿った判断を示している。

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