2012/6/4

産業・貿易

対日EPAの予備交渉が終了、本交渉開始時期は不透明

この記事の要約

欧州委員会は5月31日、日本との経済連携協定(EPA)の締結に向けた予備交渉が終了したことを加盟国に報告した。近く日本との交渉方針をまとめ、加盟国の合意が得られれば、直ちに本交渉を開始する。ただ、加盟国の間では日本市場が […]

欧州委員会は5月31日、日本との経済連携協定(EPA)の締結に向けた予備交渉が終了したことを加盟国に報告した。近く日本との交渉方針をまとめ、加盟国の合意が得られれば、直ちに本交渉を開始する。ただ、加盟国の間では日本市場が閉鎖的だとの意見も根強く、交渉入りの時期は不透明だ。

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日本とEUは昨年5月の定期首脳会議で、EPA締結に向けた事前協議を開始することで合意。交渉の対象や範囲を絞り込む「スコーピング」と呼ばれる作業が進められていた。これまでの協議で日本は自動車や液晶テレビなどの関税撤廃や削減を要求したのに対し、EU側は自動車の安全基準や建築用木材の規格の緩和、鉄道など公共調達市場における規制緩和などを交渉開始の条件に挙げていた。

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EU外交筋によると、フランスやイタリアなどは自動車や公共サービス分野で日本の市場開放が不十分と指摘し、EPA締結に慎重な姿勢をみせている。欧州委のデフフト委員(通商担当)は会議後の会見で、「本交渉に向けた事前協議の終了を加盟国に報告できたことをうれしく思う。ただし、直ちに本交渉を開始するということではない。まだその段階に達していない点を強調しておきたい」と述べ、交渉入りにはなお時間がかかるとの見通しを示した。

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一方、EU議長国デンマークのデュア貿易・投資相は、今回の会議の直前に日本側から鉄道分野の市場開放に向けた具体策が提示され、これが決め手となって約1年に及んだ予備交渉が終了したことを明らかにした。ただ、EU内では依然として慎重論が根強いことから、議長国の任期が終了する6月末までに加盟国が交渉入りで合意する可能性は極めて低いとの見方を示している。

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