2012/10/15

環境・通信・その他

排出枠入札の一部延期は14年以降の公算、欧州議会が4月に法案採決へ

この記事の要約

EU温室効果ガス排出量取引制度(EU-ETS)で2013年から本格導入されるオークション方式による排出枠の有償配分に関連して、欧州議会は4月15日の本会議で制度改正に向けた法案の採決を行う方針を固めた。ブルームバーグ通信 […]

EU温室効果ガス排出量取引制度(EU-ETS)で2013年から本格導入されるオークション方式による排出枠の有償配分に関連して、欧州議会は4月15日の本会議で制度改正に向けた法案の採決を行う方針を固めた。ブルームバーグ通信が8日報じた。景気低迷に伴う生産活動の停滞で排出枠に膨大な余剰が生じ、排出権価格が記録的な水準に下落している現状を踏まえ、EUでは現在、EU-ETS第3期間(13-20年)に配分する排出枠の入札を一部延期する方向で検討が進められているが、欧州議会の審議日程を考えると、欧州委員会が提案する「バックローディング」方式による有償配分の実施は14年にずれ込む公算が大きい。

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EU-ETSではこれまで排出枠の90%以上が対象施設に無償で割り当てられてきたが、第3期間以降は段階的にオークションによる有償割当への移行を進め、27年までに全面移行することが決まっている。初年度の13年は総排出枠の60%が有償割当となるが、債務危機に伴う景気の低迷で排出権価格は今年4月に1トン当たり5.99ユーロと史上最安値を記録し、その後も低水準で推移している。欧州委は7月、排出権価格を下支えするための新たな施策として、第3期間の最初の3年間は競売にかける排出枠を減らし、16年以降に削減分を含めて入札を実施するバックローディングと呼ばれる手法を用いて排出枠の需給を調整する計画を発表。各方面との協議を経て、16年以降に先送りする排出枠を年内に最終決定する方針を示している。

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ブルームバーグによると、欧州委はバックローディングの導入に向けた法改正の第1弾として、オークションの実施時期を決定する権限を主張しており、EU議長国キプロスの環境省高官は欧州委の提案を支持する方針を示唆している。一方、16年以降に入札を先送りする排出枠の規模に関しては、欧州委が11月14日に排出権取引市場の長期見通しに関する報告書をまとめる予定になっており、加盟国はそれを基に同委が提案している複数のオプションについて慎重に検討を進めるものとみられる。

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