2012/11/5

競争法

エクストラータ買収のグレンコア、欧州委に亜鉛資産売却など提案

この記事の要約

スイスの大手資源商社グレンコアは欧州委員会から鉱山大手エクストラータの買収認可を得るため、10月31日までに亜鉛事業の規模縮小を申し入れたもようだ。ロイター通信が消息筋の話として報じたところによると、グレンコアは亜鉛生産 […]

スイスの大手資源商社グレンコアは欧州委員会から鉱山大手エクストラータの買収認可を得るため、10月31日までに亜鉛事業の規模縮小を申し入れたもようだ。ロイター通信が消息筋の話として報じたところによると、グレンコアは亜鉛生産最大手ベルギーのニルスターと結んでいる長期供給契約の解除や、同社に対する持ち株の売却などを提案したという。欧州委は当初、11月8日までに買収認可の是非、または競争法に基づく第2段階の調査に入るかどうかを決定する予定だったが、グレンコアからの譲歩案が提示されたことを受け、今月22日に期限を延期している。

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グレンコアは10月2日付で欧州委にエクストラータの買収計画を正式に通知した。買収額は約330億ドルで、実現すれば資源の採掘から販売までを一手に手がける年商2,100億ドルの巨大な資源メジャーが誕生する。合併後の新会社は亜鉛の採掘で世界最大手となり、欧州亜鉛市場で50%のシェアを握るとみられている。欧米メディアによると、欧州委は買収計画を認めた場合、とりわけ北欧の亜鉛市場でグレンコアが市場支配力を強め、公正な競争が阻害されるとの懸念を抱いているもよう。このためグレンコアは速やかな認可取得に向け、亜鉛事業を縮小する方針を固めたとされる。

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グレンコアはニルスターの筆頭株主で、同社の株式7.8%を保有している。また、両社は2008年から亜鉛取引に関する長期供給契約を結んでおり、契約期間は18年までとなっている。関係筋によると、ニルスターとの契約解除によってグレンコアが扱う亜鉛の取引量はおよそ35万トン減少し、世界の亜鉛市場における同社のシェアは5%縮小する見通し。

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ただ、欧州委がグレンコアからの譲歩案を受け入れるかどうかは不透明で、市場関係者の間では亜鉛事業の分野でさらなる資産売却を求められる可能性が指摘されている。グレンコアの主な資産としては、サン・ファン・デ・ニエバ(スペイン)にある世界最大の亜鉛工場や、ポルトベスメ(イタリア)の亜鉛精錬所などがあるが、欧州委は北欧市場における寡占化を問題視しているため、ドイツ北部のノルデンハムにあるエクストラータの工場が売却の対象として有力視されている。

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一連の報道について、欧州委、グレンコア、エクストラータ、ニルスターともコメントを控えている。

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