2012/12/10

競争法

ブラウン管カルテルで過去最高の制裁、日本メーカーなど6社対象に

この記事の要約

欧州委員会は5日、テレビやコンピューターのモニターに使われるブラウン管の販売でカルテルを結んでいたとして、パナソニック、東芝を含む6メーカーに総額14億7,051万ユーロ(約1,576億円)の制裁金支払いを命じたと発表し […]

欧州委員会は5日、テレビやコンピューターのモニターに使われるブラウン管の販売でカルテルを結んでいたとして、パナソニック、東芝を含む6メーカーに総額14億7,051万ユーロ(約1,576億円)の制裁金支払いを命じたと発表した。EUによるカルテルへの制裁としては過去最高額となる。

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制裁対象となるのは、オランダのフィリップス、韓国のサムスンSDI、LGエレクトロニクス、パナソニック、東芝、仏テクニカラー(旧トムソン)。このほか台湾の中華映管もカルテルに関与したが、最初に欧州委に通報して摘発に協力したことから、制裁を免除された。

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欧州委によると、中華映管を含む7社は1996年から2006年にかけて、テレビまたはコンピューターのモニターのブラウン管販売をめぐり、価格カルテルを結んだほか、市場・顧客の分け合い、生産調整を行っていた。各社の幹部が欧州やアジアで、ゴルフなどを名目に秘かに会合を持ち、談合していたという。

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欧州委はフィリップスとサムスンSDI、LGエレクトロニクス、中華映管はテレビ、コンピューター用モニターの両方でカルテルに参加したと認定。その他はテレビ用だけで参加したとされる。

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制裁額(単体)はカルテルで中心的役割を果たしたとされるフィリップスが3億1,335万ユーロと最高。以下、LGエレクトロニクスが2億9,559万ユーロ、パナソニックが1億5,747万ユーロ、サムスンSDIが1億5,084万ユーロ、テクニカラーが3,863万ユーロ、東芝が2,804万ユーロ。このほか、フィリップスとLGエレクトロニクスが合弁会社LG フィリップス・ディスプレイズのカルテル参加による連帯責任で3億9,194万ユーロ、パナソニック及び子会社のMT映像ディスプレイ、東芝の連帯責任で8,673万ユーロ、パナソニックとMT映像ディスプレイが連帯責任で788万ユーロの制裁を科された。

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欧州委は2007年11月に関係各社への立ち入り調査を実施。2009年に異議告知書を送付し、弁明の機会を与えていた。

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EU内で摘発されたカルテルへの制裁額は、2008年に自動車用ガラスのカルテルで旭硝子、日本板硝子の英子会社ピルキントン、仏サンゴバン、ベルギーのソリベールに科された総額13億8,389万ユーロが最高だった。欧州委は今回のケースで、カルテルが10年に及び、しかも各社が欧州委への漏えい防止に努めていたことを示す証拠文書も見つかったことなどから、極めて悪質と判断し、これを上回る規模の制裁を科した。

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今回の決定について、フィリップスは制裁を「過度かつ不当だ」として、欧州司法裁判所に提訴する構えを表明。日本2社も「当社の調査では欧州競争法に違反する行為を行っておらず、欧州一般裁判所において今回の決定を争っていく」(東芝)、「事実認定や法令の適用に疑義があるため、欧州裁判所への提訴も視野に入れて、対応を検討していく」(パナソニック)としている。

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