2012/12/27

環境・通信・その他

欧州委がたばこ規制の強化案発表、警告表示の拡大など柱

この記事の要約

欧州委員会は19日、2001年に制定された「たばこ製品に関する指令」の改正案を発表した。たばこのパッケージに表示される喫煙の健康被害に関する警告を現在より大幅に拡大することや、メントールやチョコレートなど香りの付いたたば […]

欧州委員会は19日、2001年に制定された「たばこ製品に関する指令」の改正案を発表した。たばこのパッケージに表示される喫煙の健康被害に関する警告を現在より大幅に拡大することや、メントールやチョコレートなど香りの付いたたばこの販売を禁止することなどを柱とする内容。欧州議会とEU閣僚理事会の承認を経て、遅くとも2016年の新ルール導入を目指す。

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EU域内では1990年代からたばこ製品のテレビ広告が禁止されており、2005年7月以降は印刷物、インターネット、ラジオでの広告に加え、たばこ会社による文化・スポーツイベントの後援も禁止されている。また、たばこ製品の製造・販売に関する現行指令は、たばこ会社に対してパッケージの表側30%、裏側40%に「喫煙は死を招く」といった警告文の印刷を義務付けたほか、消費者に他の製品より害が少ないかのような印象を与える「ライト」「マイルド」「低タール」といった用語の使用を禁止している。さらに欧州委は05年、たばこのパッケージに喫煙による健康被害を示す画像の表示を求める勧告を出しており、多くの加盟国で同措置が義務化されている。

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しかし、世界保健機関(WHO)の統計によると、欧州では喫煙による死亡者が年間7万人に上り、13-15歳の喫煙率が世界で最も高くなっている。欧州委はこうした現状を改善するため、数年前からたばこ製品の販売や広告に関する規制強化に向けて具体策を検討していた。

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改正案によると、たばこ会社はパッケージの両面75%に喫煙の健康被害に関する警告文と写真の表示を義務付けられる一方、宣伝文などの表示は禁止される。また、香りの付いたたばこの販売禁止は若年層の喫煙を抑制する狙いがある。さらに「スヌース」と呼ばれる無煙の噛みたばこも引き続き販売が禁止される(ただし、スウェーデンは同措置の適用が除外される)。一方、紙巻きたばこと嗅ぎたばこの販売禁止は見送られたが、成分表示が義務付けられる。

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欧州委のボルジ委員(保健・消費者政策担当)は声明で「喫煙者の約半数がたばこによる健康被害で命を落としており、喫煙者の70%が18歳未満で喫煙を開始している。新たな規制はたばこをできるだけ魅力のないものにし、若者の喫煙開始を抑制することを最大の目的としている。たばこは『たばこらしい』外見と味でなければならず、魅力的なパッケージや香りで消費者をだますようなマーケティング戦略を許してはならない」と強調している。

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