2013/4/8

環境・通信・その他

30年の気候変動・エネ政策策定に着手、数値目標などで意見募集

この記事の要約

欧州委員会は3月27日、2030年の気候変動・エネルギー政策をめぐる議論のたたき台となるグリーンペーパー(提言書)を公表した。温室効果ガス排出量や再生可能エネルギーの利用比率などに関する20年までの数値目標と達成状況を踏 […]

欧州委員会は3月27日、2030年の気候変動・エネルギー政策をめぐる議論のたたき台となるグリーンペーパー(提言書)を公表した。温室効果ガス排出量や再生可能エネルギーの利用比率などに関する20年までの数値目標と達成状況を踏まえ、7月2日までの期間、30年を達成期限とする新たな目標などについて意見募集を行う。欧州委は各方面から寄せられた意見を基に、年内に20年以降の政策方針をまとめた「枠組み文書」を策定する。

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欧州委のエッティンガー委員(エネルギー担当)は「EUが持続可能な成長を維持しながらエネルギーの安定供給と安価なエネルギー価格を実現するには、できるだけ早く2030年に向けた政策の方向性を固めて投資を確保する必要がある。新たな政策の枠組みを策定する課程では経済危機の影響を考慮しなければならないが、同時に2050年までに温室効果ガス排出量を1990年比で80-95%削減するという長期目標の達成に向けて野心的な内容にする必要がある」と指摘している。

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EUは20年までの目標として◇温室効果ガス排出量の20%削減◇エネルギー効率の20%向上◇EU全体のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの利用比率を20%まで引き上げる◇自動車燃料に占めるバイオ燃料の割合を10%まで引き上げる――を掲げている。欧州委は提言書で、30年を達成期限とする新たな目標をどのように設定し、それぞれの目標に法的拘束力を持たせるべきか、域内産業の競争力を損なうことなくエネルギーの安定供給を図るにはどのようなエネルギーミックスを選択すればよいか、EU 全体として目標を達成するうえで加盟国間の対応能力の差をどのように考慮すべきか――など幅広い項目について各方面に意見を求めている。

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一方、欧州委は同日、EU域内における二酸化炭素分離・回収・貯留(CCS)プロジェクトの現状と課題をまとめた報告書を併せて公表した。EUは脱炭素化を図るうえで、CCS技術をエネルギー効率化や再生可能エネルギーと並ぶ重要な手法と位置付け、2007年からEU予算を投じて開発を進めているが、当初の予定より計画は大幅に遅れている。欧州委は1つの理由として、景気の低迷で生産活動が停滞した結果、排出枠に膨大な余剰が生じて排出権価格が大幅に下落し、民間部門で低炭素技術への投資意欲が減退していると分析。CCS技術の普及促進を図るため、域内のエネルギー企業に対し、新たな投資計画についてはCCS機能を備えた設備の導入を義務づけることなどを提案している。

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