2013/7/8

競争法

空港に対する支援条件を厳格化・欧州委、指針改定案を発表

この記事の要約

欧州委員会は3日、空港と航空会社に対する公的支援に関するガイドラインの改定案を公表した。不採算な空港や航空路線が補助金によって維持されている現状を是正するため支援条件を厳格化し、航空業界により公平な競争環境を実現するのが […]

欧州委員会は3日、空港と航空会社に対する公的支援に関するガイドラインの改定案を公表した。不採算な空港や航空路線が補助金によって維持されている現状を是正するため支援条件を厳格化し、航空業界により公平な競争環境を実現するのが狙い。

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改定案によると、年間利用者数が500万人を超える空港については、インフラ投資に対する公的補助を認めない。また、年間利用客数が300万~500万人以下の空港については補助割合が適格費用の25%、同100万人以下の空港については75%を超えてはならないとしている。さらに、新規就航あるいは増便する航空会社に対する補助金は年間利用客が300万人以下の空港のみ認められる。補助金の交付期間は最長2年間に限定され、新規就航あるいは増便に要する費用の50%を超えてはならない。

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EUには現在、460の空港があり、150社の航空会社が運航している。格安航空会社(LCC)の伸長に伴い急速に数を増やした地方部の小規模空港の多くは赤字経営に陥っており、公的補助に依存している。ライアンエアーなど一部のLCCは、低運賃を維持するため、新規就航の際も空港側に対して空港使用料及び着陸料の大幅な割引や路線開設に対する補助金の拠出を要求。十分な補助が得られなと判断した場合には撤退あるいは路線の縮小を行い、よい条件の良い空港へ就航するというビジネスモデルで知られている。欧州委のアルムニア委員は、「航空会社が納税者の負担で補助制度を物色するのは避けるべきだ」と指摘。「我々の目的は、税金が有意義に支出され、本当に必要とされている所に使われることだ。新しい補助に関するガイドラインは、フラッグキャリアからLCC、地方空港から大規模なハブ空港に至るまで、ビジネスモデルに係わらず公正な競争を確保し、成功した競争力のある欧州航空産業の実現に欠かせないものになるだろう」と、ガイドライン改定の意義を強調した。

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欧州委はガイドライン改定案に関する利害関係者からの意見を9月25日まで募り、2014年初頭には施行したい考えだ。

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